2013.08.03

【全国少年少女選手権・特集】ロシア・サハリンチームが全国少年少女大会に初参加

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(文・撮影=増渕由気子)

史上初となる北海道で行われた全国少年少女に選手権、北海道と隣接しているロシア・サハリン州の選手が初参加。

小学生男子10人に加え、中学生の女子も視察を兼ねて来日した。初参加にもかかわらず3選手が銅メダルを獲得。強豪ロシアの力を見せつけた。

 選手団をまとめたアルセン・マゴメドフ会長(右写真)は、「サハリン州にレスリング協会ができて5年。ようやく日本との交流ができました」と念願かなった様子。

 以前から、サハリン州のレスリング協会は、日本との交流を希望していたが、なかなか実現には至らなかった。今年の5月に転機が訪れた。「東京でサハリン州全体のプレゼンテーションの機会があったんです。そこで友好サインを交わしたときに紹介されたのが、この大会でした」。

 サハリンから一番近い北海道での開催というのも、急きょであるにもかかわらず参加する決め手となった。「時間がなかったから、今回は都合がつく選手だけを連れてきたが、来年は予選を開き、選抜チームで来たいよ」と、継続的な参戦を示唆した。

 サハリン州のレスリング人口は、マゴメドフ会長が熱心に普及活動を続けたことが功を奏し、2000人ほどいるという。各町にそれぞれの自治体が持つスポーツ学校があり、その中にレスリング・クラブもあるそうだ。大会にはたくさんのお客さんが駆けつけるそうで、それを見越して映画館などを使って大会を行うこともあるという。

過去には、サハリン出身の選手が、ロシア代表になって世界で活躍した選手もいるようだが、日本と同じく“島国”であるため、練習相手が限られてしまう問題が出てくる。「モスクワは遠いのです。日本は強い国ですので、ずっと交流したいのです」と、競技力向上も交流目的の一つだったようだ。

 サハリン州の子供たちは親日派で、吉田沙保里選手(ALSOK)の大ファンもいた。視察に来た女子のアナスタシア・パロヒナ選手(12歳)で、同年代の全ロシア大会で3位に入る実力を持つ、将来の有望株。吉田選手の写真をスクラップし、大切に持っているという。大会初日には、吉田選手が来場。サハリンチームと特別に交流の機会を持った時、パロヒナ選手は終始興奮した様子だった。

 マゴメドフ会長は、2020年五輪が東京に来てほしいときっぱり。近いところで行われるオリンピックにサハリンから選手をたくさん送り込みたい希望を持つ。吉田選手のことが大好きなパロヒナ選手は、その時19歳。シニアで頭角を現してもおかしくない年齢になる。マゴメドフ会長じゃ「吉田選手は2020年まで現役? パロヒナ選手との対決の可能性がある。それ、絶対に面白いね」と、子供たちの成長を楽しみにしている。