2013.07.30

【全国少年少女選手権・特集】北海道のエース田所和士(帯広北ク)が銀メダルで役目を果たす

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(文・撮影=増渕由気子)

 全国少年少女選手権で地元の北海道は銀2、銅4と計6つのメダルを獲得した。その中で、エースとして出場したのが同大会を過去3度優勝している帯広北クラブの田所和士だ。決勝で竹下航生(高松クラブ)にフォール負けし、地元での優勝はならなかったが銀メダルを獲得し、最低限の役目は果たした。

 だが、過去3度優勝の田所が2位で満足するはずがなかった。「優勝することが目標だったから、決勝で負けてしまって悔しかった」と笑顔はほとんどなかった。悔しさをぐっとのみ、「相手のほうが力が強かったという負けた原因も分かっている。自分の課題も見えているし、半年後(来年3月)の全国選抜大会に向けて頑張りたい」と、すぐに次の目標を掲げた。

 3歳からレスリングを始め、五十嵐真人監督の下で一生懸命に努力を重ねた。過去3度も優勝し、チームのエースに成長した2年前、6年生の時の大会が地元の北海道で行われることを知った。そのニュースを知った瞬間は「やる気が出ました」と振り返る。

 大会は、過去には広島で行われたこともある。遠征が大変で出場をあきらめたことはなかったそうだが、毎年、「東京や地方へ飛行機での遠征は大変だった?」という問いには、素直に「はい」と本音を吐露した。今大会は「移動が楽でした」と苦笑しながら、初めて車で大会に来たことを話した。

 最北端の都道府県である北海道から毎年参戦するには、気持ちだけでなく金銭面もかかってくる。それでも毎年欠かさず全国チャンピオンを目指してきた理由は、レスリングを頑張りたいという気持ちがあるからだ。「中学でも続けます。帯広にある地元の中学校に進学し、今まで通りこのチームで強くなりたい。オリンピック、行きたいです」と、将来の目標に目を輝かせていた。