※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文・撮影=久方大樹)
成年優勝の山口県勢。左から磯川、小島、守田
今大会は世界選手権を経験している湯元進一(自衛隊)と稲葉泰弘(警視庁)はエントリーせず。今年の全日本選抜選手権で3位に入っている守田にも十分に勝機ある中で試合は始まった。
3回戦では、昨年の学生王者の半田守(京都・専大)、準決勝は昨年のインド遠征で黒星を喫している森下史崇(茨城・日体大)と、守田よりもさらに若くて活きのいい学生トップ選手たちを次々と撃破。
苦戦したのは、負けたことがある森下との試合だった。第1ピリオドは、1度のタックルからアンクル地獄に持ち込んで、あっさりとテクニカルフォールで奪ったが、「簡単に取れたので油断した」と、第2ピリオドは逆にタックルから崩されて、テクニカルフォールで落とした。
今年2月に負けている森下に雪辱
準決勝の森下に続いて、決勝の富岡直希(長野・NEWS-DERI)戦も日体大OBの同門対決となったが、第1、2ピリオドとも要所でバックポイントの1点を奪い、ピリオドスコアは2-0。国体初優勝をストレートで飾った。
守田は日体大3年生だった2008年に学生王者となり、ロンドン五輪へのホープとして注目を浴びた。だが、全日本選手権では準決勝の壁を破れず3位が最高。この間、年下の選手に負けるなど、スランプ気味な様子もあった。だが、山口国体のプレッシャーが、守田をいい方向へ導いた。「先月くらいから、感覚が良くなってきた」と手ごたえをつかんで乗り込んできた地元国体に、ピタッと照準が合った。
「この優勝で、12月の全日本選手権に弾みがついた」と話す守田が見据えるのは、当然ロンドン五輪。世界選手権代表の湯元は5位入賞を逃して五輪出場枠を取れず、日本代表争いはゼロからのスタートとなっている。国体を制したことで湯元、稲葉の2強に割って入る自信がついた守田は、「12月(全日本選手権)に勝って、国体でサポートしてくれた皆さんに本当の恩返しをしたい」とキッパリ話した。