※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
国際レスリング連盟(FILA)のスタン・ジージェク副会長(米国)は、米国の情報サイト「デスモインズ・コム」で、5月にFILAが新ルールを採用した後、米国とロシアの2大大国でそれをベースにした特別ルールで国内大会を実施したことは、「ルールの確立にひとつの情報を与えた」と評価する一方、「今年の世界選手権では、そうしたルールの採用は考えないでほしい。今年はFILAの決めたルールで実施することが決まっている」と話した。
FILAは5月、レスリングをダイナミックにするため、従来の2分3ピリオドのルールを廃止し、2004年まで実施していた3分2ピリオドのトータルポイント制に改正したが、正式な新ルールではなく、「暫定」とでも言うべきルール。今後、微修正があるとしている。
6月初めのロシア選手権は、テークダウンは2点ではなく1点という従来のルールを採用。6月中旬の米国のチームトライアル(世界選手権代表選考会)は、同点で6分間が終わった場合は、サドンデスの延長戦(先に1点を取った選手が勝つ)に入る特別ルールを実施。世界の2大大国が独自にルールをテストした。
ジージェク副会長は、ロシア選手権のフリースタイル60kg級準決勝で、世界選手権4度優勝のベシク・クドホフが準決勝でベッカン・ゴイゲレーフに敗れた試合は、「テークダウンが1点」というルールによるもので、「試合を終始コントロールしていたのはクドホフだ」と主張している。(下記の動画=赤がクドホフ)
Watch more video of Russian Nationals 2013 on flowrestling.org
クドホフは第1ピリオドにカウンターの小手投げを受けて3点を失ったものの、第2ピリオドは終始攻め、3度のタックルを決めた。FILA新ルールではクドホフの勝ちだが、特別ルール下では3-3のビッグポイントによって負けとなる(注=実際はラスト1秒にクドホフがあきらめ、3-4で負け)。「タックル1点」のルールに疑問を呈している。
その他にも、
■米国が採用した同点の場合のサドンデスのルールは、観客には分かりやすいが、大会をスケジュール通りにこなすことな困難となる場合がある
■5点技1回、3点技2回でテクニカルフォールとなるルールは、観客に分かりづらい。米国のチームトライアルでは、お互いの技が展開して盛り上がったものの、3点技が2度出たため、11-7のスコアで終了した試合があった。こうした形で試合を終えるべきではない。
■テクニカルフォールの「7点差」は少なすぎる。
などといった意見があるという。正式ルール決定へ向けて、今後の課題となりそうだ。