※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
将来の日本レスリング界を背負うホープ53選手が参加
この事業は文部科学省委託事業/独立行政法人日本スポーツ振興センター再委託事業であり、今回のキャンプでは日本レスリング界の将来を担うジュニア・カデット世代の有望選手53名が参加した。
若手世代の強化としては、2001年から大学生や高校の選抜選手によるナショナル・トレーニング・システム(NTS)が行われており、毎年ブロック研修会や中央研修会が実施されている。このシステムにて強化、育成された米満達弘選手がロンドン・オリンピックで金メダルを取り、その他にもオリンピック等でメダルを獲得する選手が生まれるなど成果を出ている。MPA事業は、レスリングのNTSの成功が高く評価され、対象団体として採択された。
レスリングのMPA事業は「インテリジェントレスラーの育成」をコンセプトとし、全国の小学校5・6年生、中学生、カデット世代から優秀なタレントを発掘し、国内外のMPAキャンプによって強化・育成する。高度レベルの競技活動を通して得た経験や知識を基に、日本のリーダーとなれるアスリートの育成を目指すため、「教育プログラム」に注力しているのが特徴である。
■全日本コーチの指導のほか、教育プログラムを実施
また、フリーウエイトトレーニングのセミナーやナショナルチームと同様の形態及びフィットネス測定を実施した。
マットにおけるトレーニングでは、和田貴広コーチ(国士舘大教)、田南部力コーチ(警視庁)ら全日本チームのコーチがトップレベルの技を伝授した。
和田コーチは「早い段階で世界に出て勝負することを意識してほしい」と、早期から世界に照準を定めることを求めた。田南部コーチは「日本を代表することの責任を持ち、競技場面だけでなく、生活面から自覚を持った行動をとってほしい。また、人よりも長くマットに上がることで強くなる。練習の時に劣っていて、試合で強い精神力を出すのは無理。人より長くマットに立ってほしい」と積極的な姿勢を注文した。
清水聖志人プロジェクトマネジャーは、「MPAによって、各年代に応じた適切な機会を提供する。コーチングに関しては、小学校の高学年から全日本チームのコーチに一貫して指導を受けられる」というメリットを強調。今後は、グレコローマンのスペシャリスト育成や、海外育成システムをつくり、中・長期留学で強化・育成する計画もあり、日本レスリングの新たな強化、育成システムの構築を目指す。