※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
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第1ピリオド、タックルで先制した高橋だが、後半は攻撃できず
【イスタンブール(トルコ)、文=池田安佑美、撮影=矢吹建夫】世界選手権初出場の男子フリースタイル74kg級の高橋龍太(自衛隊)は、パンアメリカン選手権2位のユニエスキ・ブランコ(キューバ)に1-2で逆転負け。第1ピリオドの2点タックルでの先制を生かすことができなかった。
そのキューバが2回戦で敗れ、あっさりと敗者復活戦への道が消えた。報道陣の前に姿を現した高橋は、「すみません」と連呼。「いろんな人に支えてもらい、期待してもらったのに、こたえられなかった。申し訳ない」と、お世話になった人たちへの謝罪を繰り返した。
第1ピリオドの序盤、タックルをがぶられても勢いでニアフォールへもっていき2点を先制した。「タックルを取れて、いけるという感触があった」という出だし。しかし、第2ピリオドからは、相手に圧力をかけられ、場外へ2度ほど出されてしまって自分のレスリングを展開できずに0-2でピリオドダウン。第3ピリオドを前に高橋は、「外人選手の第3ピリオドはばてる」と思い、動いて相手を疲れさせる作戦へ。しかし「ばてるどころか、かえって元気になっていった」と振り返るように、エンジン全開の相手に対して攻撃の突破口を開くことができなかった。
キューバは、昨年の大会で米満達弘がやられるなど日本選手にとってやりづらいタイプの選手が多い。「もっと飛び込んでくるかと思ったが、組みに来て圧力をかけられ、てんぱってしまった」。遅咲きで国際経験が少なく、これまでにキューバ選手とは闘ったことのない高橋にとっては、勝利の方程式を試合中に見つけることができなかったようだ。「やっぱり、勝負は甘くはないですね」とうつむいた。
これで、フリースタイル74㎏級の国内代表選考は一気に振り出しに戻ってしまった。もう、高橋にアドバンテージはない。「とにかく時間がない。メンタル面をもっと磨かないと」と、12月の全日本選手権で出直しを誓った。