※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
1回戦でインド選手を攻める荒木田
【イスタンブール(トルコ)、文=樋口郁夫、撮影=矢吹建夫】男子フリースタイル120kg級の荒木田進謙(専大クラブ)は1回戦でトマール・ラジェーフ(インド)に勝ったものの、2回戦でイランを破って勝ち上がってきたゴールデンGP決勝大会3位のダビッド・モズマナシビリ(グルジア)に0-2で敗れ、今大会の五輪挑戦を終えた。
「正直、すごく悔しい。アジアから抜けていない(五輪出場資格を獲得していない=モンゴルのみが獲得)ので、次も厳しい闘いになる」と、表情はさえない荒木田。さしたる実績のないインド選手相手には、第1ピリオドにすくい投げからフォールの体勢に追い込むなど快勝と言える試合だったが、旧ソ連の強豪相手には通じなかった。
重量級の場合は、動かして相手をばてさせて勝負というのが日本選手共通の戦術。しかし、先にポイントを取られたことで「がっちり守られてしまった。そこをこじあけることができなかった」と、パワーの前に動きはまったく通じなかった。
前日は60kg級で湯元健一(ALSOK)が銅メダルを獲得。この日も、米満が決勝進出を決めていた(最終的に銀メダル)。「軽量級はいつもいい成績を残し、オリンピックに出ている。重量級が頑張らなければならなかったのに…」と話した荒木田だが、同じアジアのインドを破ったことは、次回のアジア予選に向けて明るい材料となろう。
「インドが初戦と分かった時、やはり意識した。そこを勝てたことは、成長していると思いたい」。確かにアジアの強豪が残り、アジア予選は厳しい闘いが予想されるが、どんな組み合わせになるか分からないし、決してあきらめたはなるまい。
「ウズベキスタン(五輪V2のアルトゥール・タイマゾフ)の力が落ちていて、横一線になっている」と、この階級の勢力を分析。「だれにでもチャンスは出てくる」と自分自身に言い聞かせるように話し、気持ちを次のチャレンジへ向けた。