2011.09.18

【世界選手権第6日】男子フリースタイル84kg級・松本真也(警視庁)

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 【イスタンブール(トルコ)、文=樋口郁夫、撮影=矢吹建夫】男子フリースタイル84kg級の松本真也(警視庁)は初戦から3連勝と好調で、五輪出場権獲得まで「あと1勝」とした。しかし、強国ロシアのアルバート・サリトフに0-2で敗れ、最後の壁が破れなかった。

 1日で1回戦から決勝までをこなす方式になって以来、試合をこなしていくほど試合間隔は狭まっていく。この階級も、3回戦から準々決勝までの間が20分ほどしかなく、松本と相対したサリトフは明らかにばてていた。練習量の多い日本選手のスタミナは定評があるので、松本にも勝機はあると思われた。

手足の長いロシア選手をせめあぐんだ松本

 しかし何度か仕掛けたタックルが届かず、回り込まれたりして失点を重ねた。松本は「手足が長く、手がぶらーんと下がっていて、入りづらかった。タックルを仕掛けても、ポイントにつながらないどころか、失点になってしまった」と唇をかんだ。

 相手は攻撃を仕掛けてこなかったが、「しびれを切らして入ってしまった」と松本。相手に攻撃をさせるように仕向けることも実力のひとつ。ロシア・チームの中では一番国際大会の実績のない選手だが、やはりロシアの代表の強さは一味違った。

 初戦から3連勝し、「どの試合でも自分のタックルが決まった」といいムードをつくれた。3回戦のアイルランド戦では、0-3とリードされながら中盤に3点タックルを決めて逆転する粘りも見せ、簡単に崩れない強さも楽器した。しかし、勢いを持ちこむことができなかった。

 「どの試合でもその技術を出す実力がなかったということでしょう。もう少し頑張らなければならなかった」。厳しく反省する一方、「今までの練習があったからこそ、ここまで(準々決勝)まで勝つことができたと思う。練習方法は間違っていなかった。大きな大会だけど、(トップに)手が届かない大会ではないと思う」と、一筋の光明を見いだせた大会でもあった。

 佐藤満強化委員長(専大教)は「以前の悪いタックルが出てしまった。もっと自信をもってやってほしい。実力を出し切らなければ勝てない階級だから、実力のすべてを出せるようにしてほしい」と注文した。

 12月の全日本選手権で優勝し、コーチの指導を受けながら予選第2ステージ(3月下旬、カザフスタン)に臨みたいという。「世界にふれていないと、自分の実力が分からない」として、できれば海外遠征を経験してチャレンジしたい希望を口にした。