※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文・撮影=増渕由気子)
最後の試合で優勝を決め、喜ぶ中京学院大選手
■レギュラー2人を欠いて臨んだ中京学院大
96kg級の横井健人主将を中心に昨年の優勝経験者が多く在籍し、今季も優勝候補の最右翼だった。だが、初戦の関大戦は55kg級が不戦勝勝ちと1勝のアドバンテージがあったにもかかわらず4勝3敗と辛勝スタート。馬渕賢司監督は、「60kg級と74kg級の正メンバーが就職活動で今回は参加を見送らなければならかった。王者として臨んだことで上級生にはプレッシャーがあった」と吐露。横井健人主将も「戦力不足でどうなることかと不安だった」と振り返った。
厳しい台所事情に加えて、横井主将が「3年生以上は今年初めての試合。新チームとして初の試合でもあり、みんな硬くなってしまった」と話すように、初戦は中京学院大らしさを出せなかった。
だが、前季優勝のプライドが2回戦の日本文理大戦から爆発。チームスコア6-1で快勝すると、立命館大にも5-2と勝ってAグループ全勝で決勝進出を決めた。
最終戦で粘り、優勝を勝ち取った60kg級の津田
■2-3から3-3へ追い上げ、最終戦に優勝を託した
決勝の試合順は66kg級から始まり、120kg級、84kg級、55kg級、74kg級、96kg級、60kg級(注=同リーグは抽選によって試合順が決まる)。序盤は、66kg級の加藤直裕と3番手の84kg級の加藤敬典の“加藤兄弟”がともに2-1で競り勝ち、流れを引き寄せたが、55kg級はフォール負け。
74kg級は阿比留誠が福大の新勢力・花山尚生(愛媛・八幡浜工高卒)に屈してしまい、6番手の横井主将に2勝3敗と負け越してつなぐ格好となってしまった。だが頼れる主将は負け越してきても強気だった。「絶対に負ける気がしなかった」とパワーでねじ伏せて2-0で快勝。チームスコア3-3とし、最後の60kg級、津田孝司郎に勝負を託した。
中津は本来55kg級の正メンバーで、4試合中2試合は55kg級に出場していた。60kg級のレギュラーが不在のため、馬渕監督が55kg級と60kg級でうまく使い分け、決勝は60kg級にエントリーされた。相手は、花山同様、1年生で実力のある元田大勇(鹿児島・鹿屋中央)だ。
■春より秋に強い中京学院大! 秋季も優勝を宣言
馬渕監督は「相手の1年生はグレコローマンの選手。大技で来ると思ったので、序盤はフォールされなければいいと指示していた」という作戦通り、津田は元田の投げ技などで失点し、最初のピリオドを落とした。だが、息が上がって汗をかいてくる2ピリオドから形勢は徐々に逆転した。
胴上げされる中京学院大の横井主将
横井主将は「(初優勝の前季は)先輩に引っ張ってもらった感じ。今回は自分たちで勝ったので、めちゃくちゃうれしいです」と喜びを爆発。レギュラー2名を欠いて臨んだにもかかわらず、選手層の厚さを見せつけて完全優勝を決めて見せた。馬渕監督も「中京学院大は、春よりも秋に強いチーム。3季連続の優勝狙います」と今季完全優勝を宣言した。