2013.05.13

東日本学生リーグ戦・一部Bグループ展望

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 一部Bグループは、2009~11年に3年連続でリーグ戦の決勝を争った拓大と早大の“2強”が激突する。ともにリーグ戦の勝ち方を知っているチームだけに、7回戦での激突の勝った方ががグループ1位となるか?

 ここに「待った」をかけたいのが国士舘大。実は2011・12年の2年連続、拓大を破っている。内容差で決勝へ行けなかっただけであり、決勝へ進むだけの実力をつけている。1998年以来途絶えているリーグ戦の決勝進出の可能性もありうる。


《3強の試合日程》
16日(木) 14:00~15:00 早大-国士舘大
         16:00~17:00 拓大-国士舘大
17日(金) 12:00~13:00 拓大-早大


■スーパールーキーの加入で120kg級に厚み…拓大

 2009~11年に3年連続で決勝進出を果たしている拓大。昨夏のロンドン・オリンピックに4人のOBを出場させ、この春には西口茂樹部長が日本協会の男子グレコローマン強化委員長に就任するなど、今の日本のレスリング界は拓大の存在なくしてはありえない。

 今回のリーグ戦の目標も当然優勝だが、西口部長は「絶対的なエースはいない。優勝もありうる半面、リーグ3位ということもある」と気を引き締める。早大との争いが予想される中、「国士舘大も専大も勢いがあります」。昨秋の全日本大学選手権の大学対抗得点で12位に終わったように、ちょっとでも歯車が狂えば下位低迷も覚悟しているようだ。

中心となるのは、全日本学生王者の84kg級の赤熊猶弥(福岡・東鷹鷹卒)、74kg級での起用が予想される全日本学生選手権66kg級3位の岩渕尚紀(茨城・霞ヶ浦高卒)の4年生。西口部長は「岩渕は安定感が出てきました」と、チームの要としての活躍を期待している。

 120kg級にも4年生の村木孝太郎(滋賀・栗東高卒)がいるが、スーパールーキーの園田新(滋賀・日野高卒)の加入でW起用が可能となった。ライバル早大・120kg級の前川勝利は強敵だが、リーグ戦の最後まで無傷で闘い抜けるかどうか。どちらが起用されるにせよ、1日1試合の集中で最終日に臨める拓大選手に分があるケースもありうる。

 4月のJOC杯60kg級3位の高谷大地(京都・網野高卒)、同84kg級2位の岡嶋勇也(滋賀・栗東高卒)らの若手選手の踏ん張りがあれば、4年ぶりの優勝を手にできる可能性は高くなる。


■4年生の踏ん張りが下級生の実力を倍増させる!…早大

 2年ぶりの優勝を目指す早大は、今年も安定した戦力を保っている。昨年は3年連続の優勝を狙っていたが、初戦の日体大戦を落とし、グループ2位に終わった。太田拓弥コーチは「去年はもう終わったこと。今年はグループ優勝して、決勝に行けるようにしたい」ときっぱり。

今年の4年生は男子だけで7選手がいて層が厚い。太田コーチが「4年生が主体のチームが優勝する」と話すように、4年の存在感が早大のカギを握る。主将は全日本選抜選手権グレコローマン96kg級王者の大坂昂(秋田・秋田商高卒)で、55kg級には昨年、日体大の森下史崇(現全日本王者)に勝った西洸大(京都・網野高卒)、74kg級には4月のアジア選手権で銅メダルを獲得した北村公平(京都・京都八幡高卒)がすわる。

 4年生に3勝を期待し、「下級生はのびのびやってほしい」と太田コーチ。若手で急成長を見せる60kg級の黒沢翔(茨城・鹿島学園高卒)や4月のJOC杯66kg級でノーマークから優勝した多胡島伸佳(秋田・明桜高卒)、120kg級で全日本チャンピオンの前川勝利(茨城・霞ヶ浦高卒)らの中から1勝を挙げるだけでチームは勝利できる計算だ。

 前川は、昨年はけがで欠場してチームに貢献できなかった分、今年は大車輪での活躍を見せたいところ。前川と同じく3年生になった保坂健(埼玉・埼玉栄高)にも主力の活躍を期待したい。


■二冠王者の嶋田大育まかせにしない!…国士舘大

 2年連続で3位。しかし、ともに予選リーグ6勝1敗であり、内容差での3位。さらに2年連続でグループ優勝を果たしている拓大に土をつけている。国士舘大のここ数年の実力アップは明白で、今年こそ優勝を狙いたいところ。

和田貴広コーチは「原口主将(遼=鹿児島・樟南高卒)をはじめ、チームは『優勝』を掲げて頑張っている」と、選手の気持ちを評価する一方、「うちのチームは追う立場で全力を尽くすのみです。66kg級の古谷和樹(茨城・霞ヶ浦高卒)がけがで出場が厳しい状況。(2年連続)6勝1敗という成績は気にせず、いつもどおり挑戦者の立場で、どの大学にも全力ぶつかっていきたい」と、周囲の高評価に浮かれる素振りは全くない。

 和田コーチが注目したのは、五輪除外対策として厳格化されたルールだ。「(アクションがないとすぐコーションを取るようになり)かなり疲労がたまる試合になりそう」と予想。2年連続で内容差で決勝を逃していることもあり、全試合でベストメンバーを組みたいところだが、「状況を見て選手起用を考える」と、50人の部員という層の厚さを利用して、4日間(決勝に残れば8試合)を乗り切るべく多くの選手を起用する可能性も示唆した。

 チームの柱は、学生二冠王者で今や学生界の顔となった74kg級の嶋田大育(青森・青森商高卒)だが、「嶋田任せにしてはいけない」と指摘。60kg級の原口遼主将(前述)や55kg級の折田誠治(茨城・霞ヶ浦高卒)ら最上級生の活躍を期待した。