※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
スウェーデンの「Bladet」紙は5月2日付けでレスリングのオリンピック競技からの除外問題を取り上げ、国際レスリング連盟(FILA)のネナド・ラロビッチ会長代行(セルビア)のコメントも掲載している。(右写真)
レスリングにとっては、5月29日にロシアで行われる国際オリンピック委員会(IOC)理事会が大きな山とし、FILAはその時までに多くの新しいアイディアを出すと報じている。内容は、ルール、階級、シングレット、FILA内における女性の役割の増大など。
ラロビッチ会長代行(セルビア)は4月のアジア選手権(インド・ニューデリー)の時、地元のメディアに「3スタイル(男子フリースタイル、男子グレコローマン、女子)各6階級を提案している」と話した。ここでも「各6階級」を口にしており、今月18日にロシア・モスクワで行われるFILAの臨時総会で、早ければ2016年リオデジャネイロ五輪での「各6階級実施」がFILAとして決まる可能性が出てきた。
IOCが「すべての競技・種目で男女をやる」という理念のもとに男子のみにグレコローマンが行われていることを問題視している点に関しては、「女子がグレコローマンをやることは賛成できない。女子にとってグレコローマンは危険である。殺伐すぎる結果になりかねない」と話し、女子グレコローマンの導入は考えずに男女の階級差を埋めていく意向のようだ。
■オリンピックに残すために、グレコローマンを犠牲にはしない!
同会長代行は「レスリングをオリンピックに残すためにグレコローマンを犠牲にすることはないと約束する。グレコローマンをなくすことは、北欧ではレスリングの死を意味する」と話し、オリンピックにおける階級は3スタイル各6階級ずつとすることを提案するという。これはIOCのリクエストでもあるようだ(注=英訳すると「the IOC wants」と記載されている)
3月7日にIOCジャック・ロゲ会長と会談したFILAラロビッチ会長代行
同会長代行は3月、グレコローマンのシングレットについて、第3ピリオドになると汗で技がかからなくなるために長袖のシングレット着用の提案もありうると口にしていたが、これは案のひとつだったもよう。
多くの意見を聞いたのか、今回は「グレコローマンは上半身裸で闘うことを提案する。それが観客に対して、より面白さをアピールにすることになる」とコメントしている。これが実現すれば、グレコローマンは総合格闘技のようなスパッツ姿で闘うことになる。スパッツ姿が面白さにつながる理由は掲載されていないが、レスリングのオリンピック競技存続に全面的協力を明言し、IOC委員とのロビー活動にも力を入れている米国の総合格闘技「UFC」の意向も考えられる。
なお、フリースタイルのシングレットも変更したいそうだが、上半身裸ということはないという。