日本重量級初の世界王者へ向けてひた走る吉田アラシ(三恵海運)の活躍に、日本の多くの重量級選手が刺激されているだろうが、最も強く刺激されているのは、兄であり同じ所属の吉田ケイワンではないだろうか。
日大時代に97kg級で学生王者や大学王者に輝き、卒業後の2024年には明治杯全日本選抜選手権で優勝するなど、国内での実績は弟・アラシに引けをとらない。昨年、肩を手術してブランクをつくってしまったものの、復帰して10月の国民スポーツ大会で2位へ。12月の全日本選手権は弟との競合を避けて125kg級へ上げ、この階級での日本代表を目指している。

▲男子フリースタイル125kg級での日本代表を目指す吉田ケイワン
吉田は「去年の12月(全日本選手権)はふがいない結果でした(2回戦敗退)」と振り返る。ただ、大学時代にチーム事情で125kg級に出場したことはあるが、本格的な階級アップ後は初めての大会。すぐに結果が出なくとも、悲観することもあるまい。
「反省点をこの冬、しっかりとこなしてきました」と話し、5月明治杯全日本選手権での殊勲を目指す気持ちが十分だ。体作りは、ウェートトレーニングと食事が基本。アラシと同じトレーナーの指導で筋力アップを試みている。「アラシがきちんと成績を出しているので、(体作りには)自信を持ちたいと思います」と言う。
明治杯は、アジア大会(9月、名古屋市)と世界選手権(10月、バーレーン)の日本代表につながる大会なので、どんな内容であっても優勝が目標。プレーオフでも勝って日本代表を勝ち取り、そのあと、さらに体をつくって国際舞台に臨む腹積もりだ。
弟とのスパーリングをもっとも多くこなせる立場にいるので、世界トップレベルのレスリングを肌で学べるのは大きな強み。弟とは階級が違うことになったので、ライバル意識という感覚はない様子で、「闘っていて勉強になることは多いです。兄弟でアジア大会や世界選手権に出たいです」と、兄弟での飛躍を目指す気持ちであふれている。

▲吉田アラシ(左)との兄弟スパーリング
同じ三恵海運の選手で86kg級の髙橋夢大も、躍進する重量級に身を置き、飛躍を目指す一人。アジア選手権(キルギス)では3位決定戦で敗れてしまったが、「自分の強み、持ち味も再確認でき、自信につながる大会でもありました」と振り返る。課題克服は言うまでもないが、「長所を生かし、明治杯での優勝を目指します」と気合を入れる。
その明治杯では、全日本選手権は負傷で欠場した世界選手権2位の石黒隼士(自衛隊)の復帰参戦が予想され、厳しい闘いを覚悟しないとならないが、「チャレンジャーです。だれが相手でも、目の前の相手を倒すことだけを考えていきたい」と、一戦必勝の気持ちを強調した。

▲吉田アラシ(左)とも頻繁に練習する髙橋夢大
61kg級でアジア選手権に出場したチームメートの長谷川敏裕も、吉田アラシに続きたいところ。前回(2023年)のアジア大会は57kg級で出場して優勝しているだけに、今回も57kg級へ挑むことも予想されたが(注=アジア大会は、61kg級は実施されない)、明治杯は61kg級へ出場し、世界選手権代表を目指すことを明言した。
全日本選手権で優勝しているので、アドバンテージがある。「プレーオフにもつれずに代表権を取りたい。アジア選手権の悔しさ(2回戦敗退)を世界選手権で晴らせるようにしたい」と、世界を見据えていた。

▲アジア選手権での悔しさを晴らすべく、世界選手権出場を目指す長谷川敏裕

▲17日に日大、18日に日体大で実力アップをはかった三恵海運の選手。左端は藤本健太監督