2026.03.16NEW

藤波朱理、髙橋海大が日体大を卒業、社会人選手として世界の頂天を目指す

 日体大の卒業式が2026年3月15日、東京・世田谷キャンパスで行われ、2024年パリ・オリンピック優勝の藤波朱理選手(レスター入社予定)と2025年世界選手権優勝の髙橋海大選手(ALSOK入社予定)が理事長賞を受賞。新たな世界へ飛び出した。

▲松浪健四郎理事長から理事長賞を受けた藤波朱理。古代オリンピアの優勝者に授与されたオリーブ冠も贈られた

▲理事長賞を受賞した髙橋海大(右端)と藤波朱理(中央)

 藤波は1,753人の卒業生を代表してあいさつ。公式戦150連勝中という紹介に保護者を含めた会場からどよめきが起こる中、「オリンピックで優勝したときに感じたことは、結果より過程が何よりも尊いということでした。自信とは才能から生まれるものではなく、積み重ねた日々の準備から生まれることを知りました」と、4年間で得た収穫を披露。

 「苦しかったことも、悩んだ時間も、夢へ向かうかけがえのない時間でした。卒業生、ひとり一人に挑戦があり、それぞれの努力があります。その積み重ねが私たちの誇りです」と続けた。

 式のあと報道陣の取材に応じ、「あっという間の4年間でした。(あいさつは)試合以上に緊張し、(途中で)『やばい!』と思いました」と安堵の表情を浮かべた。在学中の一番の思い出がパリ・オリンピック優勝であることは言うまでもないが、オリンピックのあと友人と4人で沖縄旅行へ行き、「いい友達と巡り会えて、一緒に旅行に行けたことも、いい思い出です」と続けた。

 今年は、準地元とも言える名古屋市で開催されるアジア大会での優勝を大きな目標とする。「地元で国際競技大会が行われるのは、現役中は最初で最後だと思う。多くの人に肉眼で見てもらい、その中で優勝することが今のモチベーション」と話す。その予選となる5月の明治杯全日本選抜選手権へ向けて、しっかり準備していきたいと言う。

▲卒業生を代表してあいさつする藤波朱理。着物の青色と銀色は日体カラーということで決めたと言う

 朱理選手の入学より1年早い2021年に就任た父の藤波俊一・日体大コーチも“卒業”する。就任したときは新型コロナウィルス蔓延が収拾の兆しを見せず、練習もままならずに、「どうなることかと思った。くじけそうだった」と言う。

 収束へ向かった2022年4月に朱理選手を迎え入れたが、足の負傷でV2を目指した世界選手権を棄権。U23世界選手権での優勝を目指したが、別の箇所を負傷して、これも棄権。2023年世界選手権で優勝してパリ・オリンピックの代表を決めながら、本番の約4ヶ月前に左ひじを負傷して手術。1ヶ月前まで満足に練習できず、「(オリンピックで優勝して)順風満帆のように見えるかもしれませんが、大変な4年間でした」と振り返った。

 4月からはレスターのコーチとして所属選手を指導し、名古屋アジア大会やロサンゼルス・オリンピックなどへの出場をサポートする。

2度の手術をプラスに変えられたことが思い出…髙橋海大

 髙橋選手は「4年間をやり通せたことを、うれしく思います。去年の世界選手権で優勝したことが一番の思い出」と総括。レスリング以外の学生生活での思い出を問われると、「レスリングしかないです」と苦笑い。4年間に2度の手術を経験し、それ自体はいい思い出ではないが、マイナスをプラスに変えられたことが「いい思い出です」と答えた。

▲今月末に東京オリンピック王者との一騎打ちが予定されている世界王者・髙橋海大

 今月27日には、ウズベキスタンで行われるロシアのプロイベント「PWF・11」で、2021年東京オリンピック優勝で、髙橋選手の中学時代から世界一に君臨しているザウルベク・シダコフ(ロシア)との対戦が内定している。あこがれだった選手との試合は、「(勝っても負けても)次につながることのない試合。楽しんできたい」と言う。

 「もちろん、勝つつもりです。自分が次の74kg級のスターだということを世界に知らしめるいいチャンス」とも話し、現役世界チャンピオンのプライドを見せた。