2025.12.02

全日本選手権へ向けて「めちゃくちゃ緊張します」と文田健一郎(ミキハウス)、樋口黎(同)は不出場を明言

 2024年パリ・オリンピック男子グレコローマン60kg級金メダルの文田健一郎と同男子フリースタイル57kg級金メダルの樋口黎(ともにミキハウス)が12月1日、横浜市の日体大レスリング場で取材に応じ、文田は今月18日(木)~21日(日)の2025年天皇杯全日本選手権(東京・駒沢体育館)で約1年4カ月ぶりの実戦復帰を明言し、63kg級にエントリーしたという。樋口黎は今大会の不出場を明らかにした。

▲復帰への意気込みを話した文田健一郎(左)と、全日本選手権の欠場を明らかにした樋口黎=撮影・布施鋼治

「パリのときの自分とは別人と思って闘いたい」

 文田は戦列復帰を「不安もあるし、楽しみでもある。パリで目標を達成し、そのうえでレスリングに向き合ってきた。新しいことづくしの1年4ヶ月だった。新しいレスリングを披露する実戦の場」と表現。パリまでは、オリンピックで金メダルを取るためのレスリングをやってきたが、今は自由にレスリングをやっており、自分へのプレッシャーもない中で自由なレスリングをやってきて、「自由で伸び伸びしたレスリングを見せたい」と説明した。

 パリ直後は「オリンピック2連覇」を口にしたこともあったが、今はそれを達成するほど追い込んだ練習はしておらず、V2を目標にするより、「新たな気持ちでレスリングに取り組んでいる気持ちを大事にして、しばらくその気持ちを味わいたい」と言う。

▲樋口を相手に練習する文田。だが、グレコローマンの選手が「またさき」は、ちょっと…=撮影・布施鋼治

 一方で、「めちゃくちゃ緊張します」とも。今年6月の明治杯全日本選手権で一足早くオリンピック以来の復帰を果たした日下尚(マルハン=男子グレコローマン77kg級)と清岡幸大郎(カクシングループ=男子フリースタイル65kg級)が、「試合前は2人とも顔が真っ青だった」と言う。今、自分がそれと同じ気持ちになっているそうだ。「あまり気負わずに闘うことを心がけたい。良くも悪くも、パリのときの自分とは別人と思って闘いたい」と言う。

 来年9月のアジア選手権(名古屋市)に出場したい気持ちはあり、5月の明治杯全日本選抜選手権は60kg級に戻す予定。「後輩に負ける気はない」と代表権奪取を宣言した。

 復帰を先延ばしにした樋口は、当初は11月に海外で実戦復帰を果たす予定だったが、流れて肩すかしとなり、タイミングが合わなかったことと、「思うような水準に戻っていないこと」が理由。2028年ロサンゼルス・オリンピックを目指す気持ちは十分で、「2連覇することしか決めていない」ときっぱり。