2025.12.02

【特集】友情が育った北欧のマット…ノルウェー遠征を振り返る(芦屋学園中高監督・坂本涼子)

芦屋学園中高監督・坂本涼子


 兵庫・芦屋学園中高、香川・高松北高、東京・自由ヶ丘学園高、法大などから構成された男女混成チーム(11選手)が11月下旬、ノルウェーへ遠征しました。2025年11月18日に関西空港と成田空港を出発し、パリ空港で合流してノルウェーへ。調整練習のあと、11月22日(土)開催の「コルボトン・カップ」へ出場(女子成績=クリック / 男子成績=クリック)。大会後は大会参加選手・現地選手との合同キャンプに3日間参加し、親善と交流を深めました。

▲「コルボトン・カップ」に出場したチーム

 大会後に行われた「Lambertseter Girls Camp 2025」には、約85人が参加(うち76人が女子選手)。日本、イタリア、カナダ、スウェーデン、ノルウェーなど多くの国から選手が集い、 1日2回の実戦的な練習を実施。各国選手とスパーリングを重ねることで非常に濃密なトレーニングが実施されました。指導者や運営関係者の丁寧なサポートもあり、充実した3日間でした。

 合同練習の合間にはチームビルディング活動(全員が、それぞれの能力やスキルを最大限に発揮しながら協力し、共通の目標達成を目指すための取り組み)も実施され、選手たちは協力しながら課題をこなすなど、国籍を越えた連帯感をはぐくみました。レスリング技術だけでなく、コミュニケーション力・協働性を磨く貴重な経験となりました。

▲ホームステイ先での記念撮影

チームビルディング活動。陣頭指揮する世界V4のグドルン・ホイエ

 今回のノルウェー遠征は、「競技力向上」と「国際交流」の両面で大きな成果を収めました。 具体的には
・欧州の高いレベルの選手と対戦・練習できたこと
・様々な国の文化・練習スタイルに触れたこと
・ チーム全体で目標を共有し、強固な結束が生まれたこと
です。試合経験による実力向上だけでなく、人間的な成長の場として大きな意義を持ちました。参加選手たちは、新たな刺激を得て日本に帰国。今後の国内大会や国際大会に向けて、得た技術と経験をさらに磨いていくことを願っています。

■香川・高松北高・南原健志郎コーチ「貴重な経験と素敵な出会いに恵まれた、とても充実した遠征でした。ノルウェーの皆さんや同行した仲間の優しさに支えられ、素晴らしい時間を過ごせました」

▲ノルウェー男子チームとともに。右から2人目が2017年世界選手権・男子フリースタイル65kg級優勝のズラビ・イアコシビリ・コーチ


参加選手の声

■U20-68kg級・小原春佳(法大)「初めてヨーロッパでの試合に参加し、緊張とワクワクが入り混じった貴重な経験となりました。現地ではホストファミリーがとてもあたたかく迎えてくれ、文化の違いを感じながらも安心して過ごすことができ、一生忘れられない思い出ができました。

 国際大会に出場する機会は多くありませんが、この貴重な舞台で優勝できたことは、大きな自信につながりました。合同練習では多くの国の選手と交流することができ、技術面だけでなくレスリング界でのつながりも広がったと感じています。今回の遠征で得た経験や出会いを今後の競技生活に生かし、さらに成長していきたいと思いました」

■U20-59kg級・藤本夏妃(法大)「初めて欧州選手と対戦し、力強さに自分のレスリングを出し切れず課題が見えました。自分のペースで試合を作れたときには勝つことができました。練習では多くの国の選手と交流し、日本では見ない技や英語での指示に戸惑いながらも、新しい技術を吸収できました。即席チームながら、支え合っていい関係を築けたことも大きな収穫でした。この貴重な経験に感謝し、全日本選手権に向けてさらに力をつけ、今後も海外の大会に挑戦したいと思います」

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■女子U20-53kg級・川村百花(法大)「優勝を目標に臨んだ大会だったので、悔しさの残る結果(3位)となりました。ただ、本来の階級より1階級上での挑戦であり、今の自分の力は出し切れたと思います。見つかった課題である場外際の対応やタックルの処理などをしっかり見直し、練習に励んでいきます。次こそ日本で良い結果を残せるよう、さらに努力していきます」

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■女子U20-50kg級・大矢華乃(東京・自由ヶ丘高)「初めてホームスティという形で海外での生活、試合、合宿を行い、とても貴重な経験ができました。ホストファミリーの皆さんはとても優しくて、楽しい時間でした。会場までの送り迎えや毎回の食事を提供してくれ、とても感謝しています。U20のカテゴリーに上がってから初めての試合で不安と緊張があったのですが、最近の課題であった自分から攻めて勝つというのができたのは良かったと思っています。坂本先生、南原先生、杉林さんには遠征の準備やサポートをしてくださったこと、とても感謝しています」

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■女子U20-57kg級・棚田紗雪(兵庫・芦屋学園高)「コルボトン・カップと合宿に参加して、さまざまな経験をすることができました。試合では、いつもより緊張せず落ち着いて挑みましたが、決勝戦はラスト30秒で4点を取られしまい、取り返すことができず負けてしまいました。相手のスタイルに合わせて組みすぎてしまいました。勝っているときの試合時間の使い方や、3分の試合運びを見直し考えてるきっかけとなり、課題が見つかる機会となりました。

 試合後の合宿で課題に取り組み、試合をした選手と何度もスパーリングすることで新たな課題や自分に足りないところを見つけることができました。このような貴重な経験をできたことを、とてもうれしく思います。海外で活躍できる選手になるように、この遠征を通じて、学んだことをこれからもいかしていきます。

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■女子U20-55kg級・永冨琉衣(兵庫・芦屋学園高)「10日間の遠征で、海外の選手と練習を通して交流する時間が多く、言葉が十分に通じない場面でも、身振りや表情を使いながら一生懸命コミュニケーションをとることができました。国や文化が違っていても、レスリングという共通の競技を通じて自然とつながりが生まれ、一緒にゲームをしたり、写真を撮ったりするうちに、国境を越えた仲間ができたことが本当にうれしかったです。多くの方々に支えていただきながら過ごした10日間は、私にとって忘れられない貴重な経験となりました」

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■女子U20-59kg級・楠彩乃(兵庫・芦屋学園高)「ノルウェーでの大会と合宿に参加することができ、とてもいい経験になりました。海外の選手の闘い方や、どういった強みがあるのかを自ら体験して実感することができ、自分の強みと弱みを知ることができました。この経験や学びをいかして、自分のスタイルを考え直し、上を目指してこれからも頑張ろうと思いました」

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■女子U20-72kg級・木村允希愛(香川・高松北高)「試合は、全体的に内容は悪くありませんでしたが、バックを取り切るためのコントロールや、タックルに入られてからの処理などの課題が見つかりました。合宿ではふだんんは練習できない自分より大きい選手とのスパーリングができたり、世界チャンピオンのズラビ・イアコビシビリ・コーチ(ジョージア代表=現ノルウェー・コーチ)の技術練習など貴重な体験ができた合宿でした」

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■女子U15-46kg級・杉林羅夢(兵庫・芦屋学園中)「今回の試合は、いつもより1つ上の階級での出場で、不安もありましたが、ふだんの練習でやってることを発揮することができ、優勝できてうれしかったです。合宿では、言葉は通じなくとも、レスリングを通して友情も深まり、いい練習ができました。ホストファミリーの方々にもサポートしていただき、ノルウェーの文化に触れることもできました。この経験をいかし、今後活躍していきたいと思います」

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■男子U15-48kg級・杉林盤(兵庫・芦屋学園中)「海外で試合をするのは初めてで、グレコローマンの試合をするのも初めてでしたが、とてもいい体験をさせてもらいました。強い選手がたくさんいて、いい練習ができ、とても楽しかったです。今回はフリースタイルで優勝して、とてもうれしくて、レスリングがさらに好きになりました。試合のマッチポイントが12点で(注=特別ルール)、試合の進行がとても難しかったですが、面白いやり方でした。ノルウェーは家族や友人を大切にする文化があり、すごく素敵でノルウェーが好きになりました」

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■女子U12-37kg級・金田未梨菜(大阪・大隈東小)「海外での試合や練習は初めてででした。試合をした選手とも練習できて、仲よくなれたり、その他の選手とも仲よくなれて、うれしかったです。強い人がいっぱいで、とてもいい練習ができました。試合は日本とは違う試合形式で面白かったです。緊張したけど、チームのみんなのおかげで、いい試合ができました。ノルウェーでは、家に家族の写真などがたくさんあって、家族思いだなと思いました。素敵な国で、また行きたいなと思いました」