男子フリースタイルで全日本選手権の出場資格(全日本学生選手権3位)を持っている五木田琉(日体大4年)が、東日本学生選手権(秋季)では男子グレコローマン63kg級に出場して優勝。敢闘賞を受賞の栄誉も手にし、こちらのスタイルの全日本選手権出場資格も獲得した。
卒業後は海外協力隊(JICA)に参加して途上国でレスリングの指導に当たる予定なので、今月の全日本選手権(18~21日、東京・駒沢体育館)が選手生活のフィナーレ。両階級の実施日が違っているので、両スタイルで最後の大会に挑むことになった。
五木田は「フリースタイルを中心にやっていて、グレコローマンは大会の2週間前くらいから取り組みました」と説明。強豪選手にボコボコにやられたそうだが、「そのおかげで優勝することができました。よかったです」と笑顔。フリースタイルで全日本選手権出場の資格があるので、優勝してもグレコローマンでの出場までは決めていなかったようだが、優勝してみると気持ちがよく、両スタイル出場は間違いなさそう。
東京・自由ヶ丘学園高時代は、フリースタイルでは全国ベスト8が最高だったのに対し、全国高校グレコローマン選手権2位・国体3位とグレコローマンの成績の方がよかった。この大会は両スタイルに出場できないので、卒業で選手活動を終えるにあたり、「最後はグレコローマンに出てみよう」と思ってエントリーしたと言う。
父・勝さんは、1990年代後半から2000年代前半の総合格闘技ファンで知らない人はいないサンボ選手&総合格闘家。母・陽子さんは1991年世界女子選手権51kg級の銅メダリスト(旧姓東)。インターハイ・ベスト8の成績で進んだ日体大には、世界王者やオリンピック王者に輝く選手がいて、きつい日々だったが、「最高の環境の中で、しっかりできたと思います」と振り返る。
今年の東日本学生リーグ戦ではファイナルステージで起用されるなど、レギュラーを獲得するだけの成長を遂げ、「燃えることのできた4年間でした」と振り返った。
JICAへの参加は、「世界を知ることは将来に役に立つので、海外に行きたい」という気持ちがあったことのほか、英会話をマスターしたいと思い、それには国内にいてはダメ。「何らのきっかけが必要と思った」という理由からの進路決定。根底にはレスリングの普及のために貢献したい気持ちがある。
最後に、高校時代の全国ベスト8から日体大でレギュラーを獲得した努力家に、前日の新人戦・フリースタイルで日体大から「3位入賞なし」だった成績のことを聞いてみた。複雑な表情を浮かべ、「頑張ってほしいです」と後輩にエールを送った。