男子グレコローマン87kg級に出場した小玉龍舞(ろんど=神奈川大)が、同大学のグレコローマン選手としては、2022年春季の山口 蓮汰(82kg級)以来の優勝を遂げた。
1回戦と準決勝は第2ピリオドまでもつれることのない勝利。決勝のバナヤド・マイク・デニエル・トーレス(中大)戦は、一時4点をリードされる苦戦をしいられ、最後は6-6のラストポイントによって勝つきわどい勝利だった。
昨年の全国高校グレコローマン選手権準決勝でフォール勝ちした相手だっただけに、「勝ててよかったけど、課題は多く見つかりました」という言葉は、もっともだろう。上半身だけでの攻撃になってしまい、そのあたりが課題だという。
ただ、4点をリードされても自己を見失わずに逆転へつなげたことは褒められる。「焦って攻めたらカウンターを受けてしまうので、落ち着くことを考えました。押すだけではなく、組み手を使ったり、投げたりして相手を崩すことを意識しました」と言う。
4点技を決めて6-6となり、自分有利の同スコアになったあとは、攻撃をしつつ、カウンターに注意して防御も心がけ、終了のホイッスルを聞いた。
今年のJOCジュニアオリンピック(JOC杯)で2位となってU20アジア選手権にも出場しているが、グレコローマンに限れば、高知・高岡高時代の2023年JOC杯以来、久しぶりの優勝。全日本選手権の出場資格にもつながり、「この経験をいかして、これからも頑張りたい」と気持ちが高まった。
2位となった4月のJOC杯は、決勝で鬼塚一心(日体大)に1点も取れないテクニカルスペリオリティで敗れた結果。鬼塚は昨年の全日本学生選手権2位、全日本選手権3位の選手で、「高校とはレベルが格段に上の世界」を痛感させられた一戦。気が引き締まった試合だった。7月のU20アジア選手権は2戦2敗。国内外でまだ実力が足りない現実を知り、努力を重ねてきた。
どんなに努力を重ねても、それだけで自信につながることはないはず。今回の試合前も「自信はなかったです」とのことだが、結果が出たことで自信につながったことは間違いあるまい。
同期のグレコローマン重量級に、82kg級で世界3位に駆け上がった吉田泰造(日体大)がいる。刺激になっているし、吉田が87kg級に上げると思われるので、闘うこともあるだろう。昨年の国民スポーツ大会決勝で対戦しており、最終的にフォール負けを喫したが、3点を取るなど、「歴然とした差はないと思います」と言う。
自身はオリンピック階級にこだわらず、適性階級として82kg級に下げる可能性もあるとのことだが、それであっても、いずれ闘うこともあるはず。「追いつくには長い期間の練習が必要だと思います。そのときに勝てるように頑張っていきたい」と、同期の出世頭を目標に上を目指す。