※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
レスリングを五輪競技に残す動きが世界で続いている中、ブルガリア、ドイツ、トルコ、ナイジェリアで政府高官がレスリング支援を表明。国際オリンピック委員会(IOC)の理事や委員に接触するなど、ロビー外交を活発に行っている。
ブルガリアのロセン・プレブネリエフ大統領はブルガリア・レスリング連盟宛に「レスリングはオリンピックで最も歴史のあるスポーツのひとつであり、長年にわたって多くの権威をもち、多くの関心を喚起してきたことを忘れてはならない。私はレスリングがオリンピック競技に残ることを断固として支持し、こうした努力が成功につながることを信じている」との書面を送った。
ドイツでは、ヴォルフガン・グショイブレ大蔵大臣がIOCのトーマス・バッハ副会長(ドイツ)にレスリングの五輪競技の存続を訴えた。バッハ副会長は、今年9月のIOC総会でジャック・ロゲ会長の後任としてIOC会長となる可能性のある重要人物。グショイブレ大蔵大臣は「今回の間違った決定が是正されれば、私は非常に感謝することになる」との書面を送った。
ドイツのレスリング協会は、レスリングの五輪競技存続のために約6万人分の署名を集めたという。
2020年の五輪開催を日本(東京)、スペイン(マドリッド)と争うトルコは、IOCの評価委員がイスタンブールの視察に訪れた先月下旬、イスタンブール招致委員でもあるスワト・キリクム・スポーツ大臣がレスリング支援を表明した。同大臣は「私達はレスリングにルールを変えることを望み、レスリングがオリンピック競技であり続けることを希望します」と話した。
ナイジェリアの連邦政府は、オリンピックにおけるレスリング競技の支持を正式に表明し、IOCのレスリング除外勧告に対して抗議の意思を示した。スポーツ大臣に代わってナショナル・スポーツ・コミッションのパトリック・エケジ専務理事が「レスリングはオリンピックの基盤のスポーツであり、アフリカの伝統スポーツである」との政府の方針を発表した。
ナイジェリア・レスリング協会は嘆願書と抗議文をナイジェリアのIOC委員のハブ・グメル氏に提出。グメル氏は、9月にアルゼンチンで行われるIOC総会にこの嘆願書を提出することを約束した。