※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文=池田安佑美、撮影=飯島隆)
藤波監督(中央)と藤田(左)、藤波(右)
これまでは個人戦主体で全国大会に出場してきたが、今シーズンから強化方針を“個人主義”から“団体主義”に方向転換し、団体戦に本格参戦。学校対抗戦初出場でいきなり準決勝まで進出し3位に入賞した。
個人戦でも全国中学生選手権(全中)3連覇の藤波勇飛が60kg級で初優勝。50kg級の藤田雄大も2位になり、いなべ総合が団体、個人そろって台風の目となった。
■少数精鋭のチームから団体戦でも勝てるチームへ成長
藤波俊一監督は「今まで個人戦で優勝者を出してきましたが、個人で満足するつもりはありませんでした。いつかは団体でと思っていた」と、長期プランで団体戦の準備をしてきた。昨年4月、全中3連覇の藤波と同時に地元のキッズクラブで育てた選手が多く入部。以前は4人のエントリーで団体戦に出場したほど少数精鋭のチームだったが、今大会は7階級の選手をしっかりとそろえて臨んだ。
初戦(2回戦)は3年前に3位の実績を持つ玉名工(熊本)と激突。九州の強豪高に6-1と快勝すると、2回戦の鹿屋中央(鹿児島)戦は7-0と全勝で準々決勝に進出。
ベスト4をかけた闘いでは、昨年の優勝校・浦添工(沖縄)を下して進出してきた海洋(京都)を6-1で退け、初出場初表彰台を確定させた。準決勝では優勝した霞ヶ浦(茨城)に2-5で押し切られて敗退。初出場で初優勝とはならなかったが、健闘は光るものがあった。
チームの柱に成長した個人戦優勝の藤波
■4月から全中3連覇の成國大志が加入
「夏こそは霞ヶ浦に勝って優勝する!」―。藤波監督、エース藤波の親子が、こう口をそろえるのには理由がある。この4月から、昨年の全中53kg級で3階級にまたがっての3連覇を達成した成國大志(東京・東深沢)が入学してくるからだ。今回50kg級2位の藤田に加えて軽量級の層がますます厚くなることは必然だ。
男子で史上5人しかいない全中3連覇選手が2人も在籍するチームは史上初。話題、実力ともに兼ね備えたチームとして注目が集まっている。
藤波監督が「全中3連覇が2人いるいことでチーム強化の相乗効果となる」と話せば、息子の藤波も「あれだけ強い後輩は他にいない。競い合ってインターハイでは団体優勝したい」と、選抜をステップに今夏のインターハイ団体優勝に再度照準を合わせていた。