2013.03.20

「レスリングは脅威ではない」…世界スカッシュ連盟・ラマチャンドラン会長(インド)

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 AP通信によると、2020年五輪で実施される競技の最後の1枠を争うひとつのスカッシュの国際競技連盟(世界スカッシュ連盟=WSF)は、レスリングを「手ごわい敵」とは思っていないことを報じた。世界スカッシュ連盟のラマチャンドラン会長(インド)が「スカッシュが勝つ自信はある」と話したという。

 スカッシュは、2012年ロンドン五輪の採用を決める2005年の国際オリンピック委員会(IOC)総会、2016年リオデジャネイロ五輪の採用を決める2009年のIOC総会で、ともに候補競技となりながら敗れている。同会長は、「その2度の敗北から学び、私たちはスカッシュをIOCの求めるスポーツに変えてきた。数年前のスカッシュと現在のスカッシュはまったく別物だ」と話し、ルールを変えて若者に受け入れられるスポーツとなったことを強調した。

 スカッシュが五輪にリクエストしているのは男子32選手、女子32選手の計64選手。五輪の肥大化抑制を目指すIOCの方針と一致していることや、場所をとらないこともアドバンテージだという。2020年五輪に立候補している東京の場合、「銀座の一角でできる」としている。

 レスリングの五輪競技からの除外危機に対して米国やロシア、イランなどの国では国家首脳が存続を訴えるなど世界規模で存続支援が起こり、いくつかの国の国内オリンピック委員会(NOC)や国際競技連盟からも支援が寄せられていることに対し、「どの競技でも、(外されそうになれば)同じことが起こる。長く五輪競技にあれば、支援する国もオリンピック委員会委員がいるもの」として、レスリングを脅威とは感じていないことを強調した。

 AP通信は、五輪にはすでにテニス、卓球、バドミントンのラケット競技が存在することを示したが、それについての回答はなかったという。

■世界144ヶ国で1500~2000万人の競技人口…スカッシュ

 スカッシュは、4面を壁で囲まれた9.75m×6.40mのコートでボールを打ち合う競技で、WSFは144ヶ国で実施されていて競技人口1500~2000万人と発表している。

 2012年ロンドン五輪の実施競技を決める2005年のIOC総会では、実施されていた28競技のうち野球とソフトボールの除外が決まり、新たに採用する競技を選ぶことになった。候補の5競技(ゴルフ、7人制ラグビー、空手、スカッシュ、ローラースケート)のうち、空手とスカッシュが最終候補に残って総会での投票にかけられた結果、空手は賛成38票、反対63票、スカッシュは賛成39票、反対63票で、規定(当時)の3分の2以上の賛成に遠く及ばない結果で、ともに採用はならなかった。

 同五輪は26競技で行われることになったため、2016年リオデジャネイロ五輪では除外される競技はなく、新たに2競技を採用することになった。2009年6月のIOC理事会で候補7競技(野球、ソフトボール、ゴルフ、7人制ラグビー、空手、スカッシュ、ローラースケート)を数競技に絞り込む予定だったが、プレゼンテーションを受けるだけで絞り込みを8月の理事会に先送り。同理事会でゴルフと7人制ラグビーに絞り込まれ、スカッシュは10月の総会に持ち込まれることなく五輪への道が断たれた。

 理事会では14人の理事による投票が行われ、最初の投票で7人制ラグビー7票、空手3票、野球2票、ゴルフ、ソフトボール各1票となり、0票のスカッシュはこの段階で脱落した。10月の総会では理事会を通過した7人制ラグビーとゴルフとが承認され、新採用競技となった。

 今回は、5月の理事会(ロシア)でレスリングのほか、野球&ソフトボール、水上スキーのウエークボード、空手、スカッシュ、スポーツクライミング、ローラースポーツ、武術太極拳の8競技がプレゼンテーションを行い、数競技(3競技という報道が多いが、正確には不明)に絞られて10月の総会(アルゼンチン)にはかられる。