3月の全国高校選抜大会2位で、今大会で3年ぶりの優勝を目指した日体大柏(千葉)は、準々決勝で自由ヶ丘学園(東京)に敗れてベスト8どまり。昨年秋に他界した大澤友博監督に朗報を届けるのは来年以降になった。
全国高校選抜大会決勝で敗れたのは文化学園大杉並(東京)。都予選で高高を破って出てきた自由ヶ丘学園は、当然、優勝候補のひとつと考えられ、丸山蒼生監督も「ここが勝負と伝え、自分を含めて選手たちにも対策をさせてきた」と言う。しかし、強豪1年生を加えた自由ヶ丘学園の強さは予想以上。軽量級で白星を重ねて流れをつくる展開にもっていけず、無念の敗退となった。
自由ヶ丘学園の60kg級に起用された薬野柑太は、6月の関東高校大会では北出幸也がテクニカルスペリオリティで勝っていた相手。「組み手のうまい選手ということは知っていましたが…」と研究していたが、勢いは止められなかった。団体戦特有の流れが相手に傾いた面もあるだろうが、同監督は「(自由ヶ丘学園の)1年生恐るべし、でした。内容はともかく、まさか、ここまでやられるとは」と無念そう。
ただ、5人の3年生の頑張りはねぎらった。監督に就任したときの1年生が、今の3年生。廃部の危機もささやかれた中、「0」からのスタートで部を立て直してきた。大変なときを頑張ってくれ、(今年3月は)5人の部員で全国高校選抜大会で2位になる成果も残してくれただけに、思い入れもある。「ここで下を向いていては駄目。気持ちを立て直してほしい」と、翌日からの個人戦での健闘を期待した。
名匠・大澤友博のつくったチームであり、全国制覇11回(全国高校選抜6回、インターハイ5回)の威光は衰えていない。それゆえ、常に「優勝」という文字がちらつくチーム。そのプレッシャーもあるだろうが、「OBなどからは『プレッシャーを感じずにやれよ』『自分のペースでやっていけば自然と実力はついてくる』などと声をかけてもらい、練習にも参加してくれます」と、気負いはさほど感じないようにしている。
一方で、「やはり優勝したいですね」とも口にする。今大会の結果を受け止めるとともに、来年、再来年とさらに強くなることが予想される自由ヶ丘学園を見据え、「基礎を積み上げ、しっかりやっていきたい。大澤先生に全国制覇の朗報を届けるのは先になりますが、時間がかかっても、全国一に戻ってきます」と話した。
3年生は大学へ進んでからも続ける選手なので、「大学へ行ってからも活躍できるように、このあとも(卒業までは)しっかり指導していきたい」と話した。