ハンガリー・ブダペストで行われた2025年UWWランキング大会第4戦に出場した男子フリースタイル4選手が7月20日、成田空港に帰国した。3選手が優勝する好成績だった。
米満達弘監督(自衛隊)は「今大会は、世界選手権の前に外国選手との試合経験を積むことと、ランキング・ポイントを取ることを目的として参加しました。強豪選手も出場する中で勝つことができ、日本のレベルが高くなったことを実感しました」と満足そう。技術や体力だけではなく、6分間の闘いの中での戦略だったり、攻めるタイミングの取り方なども優れていたと言う。
3選手が優勝という結果は、監督としても自信を感じたそうで、「この勢いで世界選手権へ臨みたいと思います」と言うが、世界選手権のレベルはもう一つも2つも上。「優勝した中でも課題が見えたと思う。世界選手権までに克服して、万全の状態で世界選手権に挑んでほしい」と要望した。
高橋侑希コーチ(山梨学院大講師)は「結果がよく、世界選手権へ向けて好発進できたと思う」と総括する一方、「どの選手も『新たな課題が見えた』と言っていた」とも話す。ロシア(現在の所属はUWW)の出る世界選手権の厳しさはもっと上であり、「所属での練習のほか、8月にも全日本合宿もあるので、克服を目指してほしい」と、さらなる努力の必要性を訴えた。
2月のランキング大会第2戦(アルバニア)に続いて優勝の70kg級の青柳善の輔(クリナップ)は「以前に負けた選手(決勝のアルマン・アンドレアシャン=アルメニア=2022年世界選手権で黒星)がいたり、去年のランキング1位の選手(2回戦のアカキ・ケメルテリーゼ=ジョージア)がいたりで、世界選手権前にこうした強い選手と試合ができてよかったです」と話す。
脚を触られることがなく、きちんとした形でポイントを取られたシーンもなく、「失点が少なかったことはよかったと思います」と、試合内容も満足いく優勝だったようだ。
この大会前からランキング1位が確定しており、世界選手権は第1シードで臨むことになる。32選手出場なら別だが、それ以外の出場選手数なら試合数が少なくなるので、その分、集中して闘える。「いいですね。4試合勝てば世界チャンピオンでしょう。気を引き締めて頑張ります」と話した。
■61kg級優勝・須田宝(山梨学院大)「今年3度目の国際大会で、世界選手権前にどれだけ通用するかを感じたかった。優勝できたことはよかったのですが、反省点もたくさんあった。そこを直して世界選手権に向かいたい。(決勝は1-3とリードされていながら、ラスト15秒からの攻めで逆転勝ち)最後、取れる、焦らなければいける、という気持ちがありました。練習してきたかいがあったと思います。
(国際大会で3大会連続優勝について)今のところは調子いいですけど(笑)。これを続けられるように、これからもしっかり練習したい。(この階級の米国代表に18歳の選手が決まったことについて)年下の選手なので、闘うことになったら絶対に負けられないです」
■74kg級優勝・髙橋海大(日体大)「世界選手権の前の準備として、いい大会になったと思います。(1回戦と準決勝でスコアは競っていたが)ともに強い選手ということは分かっていた。両試合とも、自分の持ち味であるタックルが前半は取れたけど、後半になって相手の攻撃やプレッシャーが利いてきて、攻めることができなかった。
今回見つかった課題は、後半の攻撃です。(手術の状況は)問題なく順調に回復しています。今大会では、名のある選手というか目標にしてきた選手と試合もでき、その中で勝てたことは、かなりの自信になりました」
■70kg級・神谷龍之介(日体大=初戦でインド選手に黒星)「思い切っての試合を考えて臨みました。思い切ってはできたのですが、一個一個のタックルの処理だったりなどが雑になったしまったことが課題として出てきました。あと、グラウンドで確実に返せる技を身につけないとならないと思いました。
(4選手のうち3選手が優勝で)悔しいです。これをエネルギーにして頑張りたい。(4月のアジア選手権に続く国際大会だが)まだ緊張してしまう面があります。自信をもって試合に挑めるような練習をやっていきたい」