2025.06.29NEW

6.26日本協会理事会後の記者会見/一問一答(下)…伊調馨・新理事&海外遠征の自己負担金について他

《上から》

これから協会をになっていく人たちと意見を交換したい(多賀専務理事)

--富山会長は、なぜこの場に来ないのでしょうか? 再任されたのなら、会長が来て話をするのが当たりまえではないですか?(注=この会見の前日にあった日本バレーボール協会理事会で3期目が決まった川合俊一会長や、同じ日に行われた日本オリンピック委員会理事会で新任となった橋本聖子会長は、会議後に会見に出席して報道陣の質問に答えている)

木村弁護士 協会の定例理事会や任命されたあとの理事会のあとの会見出席は、専務理事の職責なんです。これは昔からそうですね。会長が来て会見したことはないと思います。私が知る限りはないです。運用・役割分担の部分で、会長は統括、実務面のトップは専務理事でやってきました。ただ、個人的な意見ですが、会長(再)就任の所信表明みたいなものを出してほしい、という皆さんの意見はもっともかな、とは思います。

--(A記者)メディアとしては、会長に新たな任期の抱負や、今後のレスリング界をどうしていくか、というお考えを、この場でなくとも公の場で話していただきたいので、ぜひその機会をつくっていただきたいと思います。

多賀専務理事 (うなずく)

--(A記者)余人に代えがたい3人につきまして、2年の任期しかない中で、どれだけ次世代につないでいくかが、協会として重要だと思います。多賀専務理事に、どういった形で進めていくかをお聞きしたい。

多賀専務理事 いま、私達が直面している問題があります。ひとつは協会を発展させることで、競技力を上げること、これはパリ・オリンピックで8つの金メダルを取ったわけですが、さらに発展させるためにもうひとつの重要な柱が普及です。そういう活動を、これから協会をになっていく人たちと意見を交換させながら一緒にやっていきたい。次の世代に、その手法を身につけていってほしいと思っています。

--(A記者)協会として重要な課題なわけですね。

多賀専務理事 重要です。

(イメージ写真)

昨年度は黒字決算だったが…

--(A記者)伊調馨さん(41歳)が理事に入られました。競技面での実績は言うに及ばないと思いますが、あらためて理事としての期待、どういった役割をになってほしいかをお聞きしたい。

多賀専務理事 まず強化の全方面で活躍していただきたい。それから女性スポーツを発展させるために活躍してほしい。将来、協会の重要な部分をになってくれることも期待しています。

--(A記者)将来的に何らかのリーダーの面を見せてほしいということですね。あと、財務の面ですが、昨年度は黒字決算とのことですが、黒字になった理由は?

多賀専務理事 パリ・オリンピックで活躍したおかげで、JOC(日本オリンピック委員会)からの補助金が増えました。各種(解読不可=企業からの寄付があった、といった内容だったと記憶します)のおかげです。

--(A記者)前年度(令和5年度)の財務状況は厳しかったと思います。その部分は今後の課題として残っているのでしょうか?

多賀専務理事 まだ残っています。今年は、補助金が増えましたので黒字となりましたが、来年度以降、改善できるかどうか分かりません。

--(A記者)繰り返しになりますが、会長の所信表明とともに、公開練習の場などでもいいですので、伊調さんに普及への思いなどを話してもらえれば、ありがたいです。

多賀専務理事 分かりました。

伊調馨・新理事には女性特有の感性での活動を期待

--(B記者)伊調さんについて、強化の現場と協会の橋渡しという面での期待はありますか?

多賀専務理事 もちろんです。いま、女性理事が増えてきましたし、現役を終えたばかりの選手も何人かいます。強化のために、単に練習だけでなく、練習の場所などいろいろな面で、われわれの分からない部分もあるわけです。女性特有の感性でやっていただくことを期待したい。

--(B記者)女性の感覚でしっかりやっていただくことが、強化につながる、という意味でしょうか?

多賀専務理事 そうですね。これまで女子が頑張ってきて、今回(のパリ)は男子が頑張ったわけですが、(解読不可)~いくうえでプラスになっていくのではないかな、と思います。

--(B記者)理事としてしっかり育ていけば、ある意味、世界の顔になる人だと思いますので、そういうこともふまえての抜てきということでしょうか。

多賀専務理事 そういうことです。

--(C記者)アスリート委員長はだれになったのでしょうか?

秋山敏文広報委員長 専門委員長については決まっていますが、アスリート委員長だけは現在、確認中です。そこが決定次第、すべて公表したいと思います。基本的に継続です。広報委員長は引き続き私がやりますので、よろしくお願いします。

--(C記者)アスリート委員長は一番注目される委員長ですので、よろしくお願いします。

秋山敏文広報委員長 分かりました。本人確認ができていませんでしたので、今日は発表できませんでした。

必要な海外遠征・自己負担金の明細

--就任会見のときに聞くべきことかどうか分かりませんが、新体制の方針ということでお聞きします。いま、現場で大きな不満のひとつが、海外遠征の自己負担金です。

多賀専務理事 (うなずく)

--不満は金額じゃないんです。なぜこの金額になるか、という明細が公表されないで自己負担金の振り込みを依頼されることに、大きな不満、不信があるんです

 ある選手の親が、地元のレスリング協会か体育協会か分かりませんが、「補助金申請のために必要だから」とレスリング協会事務局に問い合わせたら、渋々ながらも教えてくれたそうです。その明細を見させてもらいましたが、「フライト代○○円、宿泊代○○円、エントリー代○○円…、総支出○○円。対して、国からの補助金○○円で、自己負担金は○○円」と記入してありました(注=不正が感じられる会計ではない、という意味です)。

 問題は、選手サイドから要望されて出した、という点です。このやり方は、おかしくないですか? 依頼するにあたっては、明細を明示して自己負担金を依頼するべきではないですか?

多賀専務理事 聞いているところでは、交通費、飛行機代が分からなかったことと、JOCからの補助金がいくらか分からない状況だったので、はっきりした金額は出せなかった、ということです。そのあと、JOCからの補助金が出たとき、余分だった分を返還しています。

--そのケースのことを言っているわけではなく、

多賀専務理事 あらかじめ教えてくれ、ということでしょ。はっきりと分かれば、当然、教えます。分からなかったから、出せなかったんです。

--そうではなく、選手サイドから問い合わせがあって教える、ではなく、事務局から依頼とともに明細を伝える、が筋ではないか、ということです。選手サイドから聞かれなければ、そのまま、というのはおかしい、ということです。

多賀専務理事 今後は、明細もきちんとつけるようにします。

▲明細もなく、自己負担金17万円を請求してくる依頼書=一部加工しています

聞かれた選手だけではなく、該当全選手に明細の公表を確約

--今、ここでの話で「そうします」と言っても、「言った、言わない」のトラブルになる可能性があります。5年、10年、15年とたって担当者も変われば、なし崩しになることもあります。協会の内規として、しっかり文章化するべきことではないですか?

木村弁護士 内規の改正となると、理事会決議が必要です。選手の個人負担金の公表のあり方について、こういう提言があったことを専務理事と広報委員長が聞いたわけです。アスリートに直結することなので、まずアスリート委員会を含めた専門員長会議で議論して決めることになるでしょう。事務局の人数の問題もあるわけです。限られたリソース(職員数)の中で、どこまでの対応ができるのか、といった問題ともかかわってきます。

 おっしゃる通り、透明化するべき、ということは間違いないことだと思います。総支出がいくらで、国からの補助が3分の2で、自己負担金がいくらになるか、ということを、事前になるか、事後になるかは別として、どのタイミングで、どういう形で公表できるか。

 財務委員会やアスリート委員会など各種委員会とすり合わせをしたうえで、必要があれば、内規なのか、旅費交通費規定になるのか分かりませんが、規定の修正案を理事会に諮り、理事会で議論すべき問題であると思います。いま、ここで多賀専務理事が一人で決められることではありません。委員会、理事会を経たうえで決めることです。

--きちんとやるべきことだと思います。あるとき(注=2023年7月のU17世界選手権)、自己負担金30万円を出発までの3週間以内に振り込んでくれ、という機械的な文章の依頼書1枚が、明細もなく来たそうです。おかしくないですか?

多賀専務理事 その点については、私もよく理解しています。私が選手だった時代はほぼ全額自己負担で、負担金額が分かっていたからこそ、母校や県の協会などに寄付をお願いしに行った。今でも金額や金額の明細が分からなければ、支援も頼めないことは理解しています。中身を隠そうなんてことは、まったく思っていません。分かれば、すぐに公表します。

--公表していないから、聞いているんです。聞かれた選手にだけ教えるやり方は、公表になりません。だから、質問しているんです。事前か、事後は別として、きちんと(該当選手の全員に)公表するんですね。

多賀専務理事 公表します。隠す必要はないです。

--よろしくお願いします。私のところに、自己負担金への不満や追及してくれ、という声が寄せられていましたので、代わってお聞きしました。

多賀専務理事 現場の声として、受け止めます。

--(D記者)多賀専務理事への質問です。その自己負担金のことを含めていろいろな文書を、協会事務局から「半日以内に出してくれ」とかと言われるケースがあり、各傘下連盟や都道府県や学校から協会事務局の機能に対して信頼感がないことを聞きます。事務局の職員数が少ないことは、どこも理解されていると思いますが、新体制下で現場と協会の信頼関係をどういうふうに築くか、強固にするか、どうコミュニケーションをとっていこうと思ってますでしょうか?

多賀専務理事 事務局も我々も、選手ファースト、ということは捨てたくない。これを第一に考えています。選手のためにできることを率先してやり、信頼関係を築いていきたいと思います。