2025.06.29NEW

U17アジア選手権(ベトナム)出場の男子フリースタイル・チームが帰国

 ベトナム・ブンタウで行われた2025年U17アジア選手権に出場した男子フリースタイル・チームが6月28日、羽田空港に帰国した。「金2・銀2・銅3」を取り、前年の「銅3」から大きく飛躍。2016年以来の複数階級制覇を達成し、国別対抗得点は4位に入った。

 平井満生チームリーダー(山梨・甲府城西高教)は、3スタイルを通じてメダルも多く、国別対抗得点で表彰台を逃した男子グレコローマン(5位)と男子フリースタイル(4位)についても「表彰台にからむことができたのでは? と思えるくらい頑張ったと思う」と総括(女子は3位)。ここ数年、U17の国際大会を見てきているが、「重量級を含めて世界トップレベルと勝負できる段階まで来ていると思う」と話した。

 昨年のパリ・オリンピックの金メダル・ラッシュで「シニアは強いなあ」と思っていたそうだが、若い世代も伸びていることを実感したと言う。各スタイルの監督とコーチも勝たせるために全力を尽くし、「いい雰囲気で試合に臨むことができ、それがこの結果につながった」と振り返った。近年、女子のインドの躍進がすごかったが、今大会を見た限り、「脅威と思うような実力差はなかった」と言う。

 来月下旬にはU17世界選手権(ギリシャ)があるが、今回と同じくチームリーダーとして参加予定。「この勢いを持って行きたい」と言う。インターハイと重なり、出場資格がありながらそちらを選んだ選手もいてベストメンバーとはならなかったが、「それであっても、十分に世界で闘えると思います。そのくらい層は厚くなっています」と話し、昨年は3スタイルで「金1個(女子46kg級・勝目結羽)」に終わった成績のばん回を期待した。

▲メダル獲得選手。前列左から後列右へかけて、山屋翔夢(岩手・宮古商工高)、前田悠樹(東京・自由ヶ丘学園高)、古澤大和(大阪・大体大浪商高)、北村春斗(兵庫・猪名川高)、丸田龍平(埼玉・埼玉栄高)、中納京介(埼玉・花咲徳栄高)、淺野称志(長野・上田西高)

 男子フリースタイルの横山太監督(岡山・おかやま山陽高教)は「(会場と宿舎が同じだったので)グレコローマンと女子のチームの応援を受けることができ、日本チーム全体の盛り上がりがありました」と、チーム・ジャパンでの好成績と振り返る。

 勝った試合は、いい判断のできたシーンが多かったという。負けた試合は、実力差というより、きわどいシーンで返し技を受けるなど大きな差ではないことを強調。その修正をすれば、もっと順位をあげられると言う。日本選手と外国選手では闘い方が若干違うので、外国選手との闘いをイメージして全体的なレベルアップを望むと言う。

 今大会は、イラン・イスラエル戦争の影響で昨年5階級を制したイランが不参加だったが、同監督は「出てきても、各選手が実力を出し切れば勝てるのではないかな、と感じました」と、選手の持つ潜在力を評価した。


 ■51kg級優勝・前田悠樹(東京・自由ヶ丘学園高)「去年のU17の世界チャンピオンが同じ階級にいました(自分も同じ階級で出場)。その選手を倒すことを目標に練習してきました。相手は左腕を取っての攻撃が多いので、その対策をしっかりやりました。対策通りに闘うことができて勝つことができ、よかったです。次は国民スポーツ大会予選に勝つことが目標。本戦でも勝って全日本選手権の出場権を獲得し、そこで闘えるように頑張りたい」

 ■71kg級優勝・中納京介(埼玉・花咲徳栄高)「スタミナで勝った部分がありました。最初にポイントを取られた試合があって、駄目な部分でしたが、取り返す自信はありました。高校の練習で走り込みをしっかりやってスタミナはついていると思います。学校の監督に感謝の気持ちです。このあとインターハイに出場するので、優勝して今後の国内大会と国際大会につなげていきたい」

 ■48kg級2位・山屋翔夢(岩手・宮古商工高)「金メダルを取りたかったのですけど、初の国際大会でメダルを取れたので、うれしかったです。勝てた試合は、落ち着いて冷静に自分のレスリングで闘えました。(負けた)決勝はタックルに入ってからの処理が甘かったと思います。全国大会のメダルやアジア選手権での金メダルを目標にして頑張りたい」

 ■65kg級2位・丸田龍平(埼玉・埼玉栄高)「負けての2位。悔しい結果に終わってしまいました。バーレーンで予定されているアジア・ユース大会に出場予定なので、今回負けたインド選手(が出てきたら)を倒すことはもちろん、優勝を目標にします。負けた試合はローシングに入ってそこで止まってしまったことが反省材料。相手が尻もちをついたときに返されてしまうキープ力のなさも出て、改善していきたい。来年はU20の世界選手権を狙いたい」

 ■55kg級3位・古澤大和(大阪・大体大浪商高)「1位を狙っていて3位に終わってしまいましたが、メダルを取れたので、とりあえずはうれしいです。負けた試合は、その前のインド選手との試合でばててしまい、自分のいいところが出せなかった。体力をつけて次はしっかり頑張りたい。インターハイでしっかり勝てるように頑張りたい」

 ■60kg級3位・北村春斗(兵庫・猪名川高)「今大会が2度目の国際大会。最初は銅メダルだったので、今回は決勝進出が目標でした。(達成できずに)悔しい気持ちはありますが、メダルを取れたので、ひとまずよかったと思います。初戦で負けて、けっこう落ち込みましたが、横山監督からアドバイスをいただき、敗者復活戦と3位決定戦で勝つことができ、よかったです。アジアでもしっかり闘える、という気持ちにはなりました。次はインターハイの優勝を目指して頑張ります」

■92kg級3位・淺野称志(長野・上田西高)「当たり(組み合わせ)がよかったんですけど、初戦で相手のペースに合わせてしまう、グラウンド技で負けてしまった。3位決定戦に回れることになって気持ちを切り替えるしかなかった。時間が空いたので、自分の試合を見直し、どうやって自分のペースで闘うかを考えることができました。今回の経験を生かしてインターハイで頑張りたい」