2025.06.28

U17アジア選手権(ベトナム)出場の女子チームが帰国

 ベトナム・ブンタウで行われた2025年U17アジア選手権に出場した女子チームが6月27日、羽田空港に帰国した。2階級で優勝し、「銀1・銅1」を取ったが、国別対抗得点は149点で、インド(215点)、中国(151点)に及ばず、昨年に続いて3位だった。

▲メダル獲得選手。左から東海良(宮崎・櫻美学園高)、保坂樹奈(福島・ふたば未来学園高)、内田菜楓(JOCエリートアカデミー/東京・帝京高)、阿久津こはる(福島・ふたば未来学園高)、渡邊ひさき(三重・白山ガールズ)

 赤坂美里監督(千葉・野田中央高教)「(7月下旬の)U17世界選手権がインターハイとかぶった関係で、国内3番手の選手もいる中での闘い。厳しい闘いも覚悟していましたが、取るべき階級はきちんと取ってくれました。ほぼすべての階級でメダル争いにからんでくれ、よく頑張りました」と総括。負けた試合には、ラスト数秒まで勝っているなど惜しい試合もあった一方、「自分のレスリングを出せずに負けた選手もいた。相手に合わせることなく、攻撃を続けるレスリングを貫いてほしい」と望んだ。

 躍進しているインドとの差は縮まっていると見ているが、国別対抗得点ではカザフスタンやウズベキスタンも躍進しており(日本149点、カザフスタン137点、ウズベキスタン125点)、「敵はインドだけではない」ことも強調した。U17世界選手権へ出場する選手には「各所属での練習はハイレベルのものだと思います。自信をもって外国選手に挑んでほしい」と要望した。

 今大会は宿舎と会場が同じ場所にあり、男子が女子の試合を、女子が男子の試合を応援することができた。会場と宿舎が離れているとそれができないが、男子グレコローマン選手の奮戦を見たり、応援を受けたりして勇気づけられ、チーム・ジャパンとしての団結が感じられたそうだ。「その団結心が大きかったと思います」と言う。

 同監督が「技術指導をしっかりやってくれて助かった」と評した元学生王者の砂川航祐コーチ(福島・ふたば未来学園高)は「女子チームの帯同は初めて。他の所属選手との接し方などは手探り状態でした」と話し、やや緊張した遠征だったようだ。懸案のひとつだったインドとの差を逆転することはできなかったが、縮まっているのではないかな、とは感じたようだ。

 昨年のU17世界選手権は、ふたば未来学園高の選手が「銀1・銅1」を取り、今大会も「金1・銅1」。どういうレスリングをすれば海外で勝たせられるかを実感した大会でもあった。国際大会に出して勝たせられる指導を日頃からしていきたいと話す一方、重量級は海外との差を感じ、「国内でもっと選手が増え、切磋琢磨する状況でなければならない。各所属、各都道府県を挙げて取り組まなければならない問題」とし、普及を呼び掛けた。

▲成田空港での遠征最後のミーティング


 ■49kg級優勝・内田菜楓(JOCエリートアカデミー/東京・帝京高)「調整練習でけがしてしまいまして、組み手の練習を中心にやることになったのですが、それが生かされました。けがをしたおかげで勝てた、という面があるかな、と思います。U15のときもアジア選手権で優勝していますけど(2022年)、今回はけがをして気持ちが折れそうになった中での優勝なので、今回の方がうれしいですね。(姉・ が明治杯で優勝)出発する前にそれを見て自分もガッツポーズし、頑張ろう、という気持ちになりました。1ヶ月後にインターハイがあるので、けがを治し、1年生チャンピオンになれるように頑張りたい」

 ■53kg級優勝・保坂樹奈(福島・ふたば未来学園高)「初めての国際大会で緊張していた部分はありましたけど、試合では集中して試合に取り組むことができました。金メダルを持ち帰って家族に喜んでもらえてよかったです。絶対に勝つ、という気持ちを持って試合に臨むことができました。技術的にできないこともありましたが、タックルへ行ってグラウンドへの移行はよくできたと思います。日本で常に一番の選手になりたいと思います」

 ■43kg級2位・東海良(宮崎・櫻美学園高)「2023年のU15アジア選手権は1勝したあと2回負けてしまいましたけど、今回は3勝して決勝へ進むことができ、メダルを獲得できてよかったです。1回戦と3回戦はフォールされそうな展開もありましたけど、粘って逃げ切ることができたことでメダルにつながったと思います。決勝の相手のインド選手はU15のときに闘ったことのある相手です。そのときは2-6で、今回は0-9と差が広がってしまって悔しいです。この悔しさをばねに、次の国際大会では優勝を目指したい。まずインターハイで優勝を目指します」

 ■46kg級3位・阿久津こはる(福島・ふたば未来学園高)「2回目の国際大会。準決勝で負けてしまいましたが、3位決定戦までに気持ちを切り替え、メダルを必ず持ち帰る、という強い気持ちで臨むことができました。負けたインド選手は力が強く、引いてしまったところがありました。最後に取り返されてしまったのは、そうした自分の弱さがあったからだと思います。(2年前に40kg級のU17世界選手権で優勝しているが)46kg級では外国選手と体格や手足の長さが違うことを感じました。体力をつけたい。(今年はこの大会と予選が重なって出場できないので)来年のインターハイでは絶対に優勝したい」

 ■57kg級3位・渡邊ひさき(三重・白山ガールズ)「悔しいですけど、3位決定戦は最後の数秒で逆転できたので、そこはよかったです。準決勝のインド戦が勝負と思って挑みました。最初にポイントを取られ、それは取り返すことができましたが、またポイントを取られ、そのまま取られてしまいました。まず日本での大会で優勝し、今度はアジアではなく世界の大会に行きたい。インドだけでなく、その国の選手と当たっても負けないようにしたい」