日本レスリング協会は6月26日、都内で評議員会を開催。6月9日の理事会で論議され提案された新理事案を承認。その後、新しい理事による理事会が開催され、役職幹部を下記の通り決めた。富山英明会長は2021年10月に福田富昭会長の辞任を受けて新会長に就任し、2023年6月の再任を経て3期目となる。理事、役職幹部の任期は2027年6月まで。
会 長=富山英明(67歳、選考委員会選考理事)
副会長=土方政和(64歳、全国社会人連盟選出理事)
副会長・専務理事=多賀恒雄(70歳、選考委員会選考理事)
常務理事=粟田敦(公表なし=推定67~68歳、関東ブロック選出理事)
寺澤淳(公表なし=推定56~57歳、全日本女子連盟選出理事)
理事会後の記者会見には、多賀恒雄専務理事と協会の木村晃一顧問弁護士(役員候補者選考委員長)が出席。木村弁護士は、スポーツ庁と日本協会の理事の規定である「10年任期を上限」を超える理事が3人いることを明らかにし(注=個人名は出しませんでしたが、本サイトはすでに富山英明、多賀恒雄、土方政和の3人であることを報じています)、「余人をもって代えがたい人材」による例外規定が適用されると説明。役員候補者選考委員会として理事会、および評議員会でも同様の説明をし、承認を得たと話した。
ただ、スポーツ庁の定めた激変緩和措置(急激な変動による混乱を避けるための猶予期間)が昨年度で終わっており、いつまでも世代交代が行われないのでは、ガバナンスコード策定の趣旨に反することも強調。「次の改選期でも世代交代ができていないのはおかしい。役員候補者選考委員会としては、今回に限り例外として役員に載せることはやむをえないと判断するが、後進の育成、次の理事の育成を促進するべき」との意見もつけた。
本サイト(編集長=樋口郁夫)の「2年後の改選のときは、今回の例外規定の3理事は終わりという意味か?」との質問に、「役員候補者選考委員会では、そういう話が出ました」と回答。「決定ではないのか? また例外規定が適用される可能性はあるのか?」との問いに、そのときは自分が選考委員かどうか分からないとしながら、「今のメンバーとしては、ガバナンスコードとの兼ね合いで、きちんと後進を育ててほしいという提言をさせていただいた。基本的には今回限りと思っている」との意見を述べた。
再任された富山会長が会見に出席しなかったことについて、木村弁護士は「理事会後の会見は通常、専務理事が行っている」と説明。報道陣から「再任にあたり、会長から方針などの説明があってしかるべきだ」との声に、多賀専務理事はその機会を設けることを約束した。今回、新たに就任したオリンピック4連覇の伊調馨理事についても同様の要望があり、その場を設定するという。
本サイトは、海外遠征における個人負担金について、金額の明細を示さずに振り込みを依頼することに現場からの不満と不信が高まっている事実を挙げ(注=ただし、明細の公開を求めた人には公開しているようです)、「明細を明示したうえで自己負担金を依頼するべきではないか」と質問。
多賀専務理事は、フライト代や日本オリンピック委員会からの補助金が不明なときもあり、明示できなかったケースがあったことを説明し、「明細を明らかにすることは当然。分からなかったから教えられなかった」と回答。「教えてほしい、との要望があって教えるのではなく、協会からきちんと伝えるべきことでは?」との問いに、同専務理事は「今後は、そうします」と回答した。
「内規として文章化しなければ、なし崩しになる可能性がある」との問いに、木村弁護士は「内規の改正には理事会での決議が必要になり、手続きを経る必要がある。選手の自己負担金に関して、こうした提言があったことを聞いたので、アスリート委員会を含めて各専門委員会などで議論したい。この場で回答はできないが、透明化すべきこと、ということは間違いない」旨を回答。内規か旅費交通費規定かは分からないが、修正案を理事会で議論する可能性を口にした。
※明日か明後日に、会見での一問一答の全文をお届けします。