2025.06.19NEW

【特集】チャレンジをテスト実施…6.15押立杯吹田市民少年少女大会

 6月15日に大阪・吹田市北千里体育館で開催された2025年押立杯吹田市民少年少女選手権は、6年生の決勝にのみチャレンジ(ビデオチェック要求)を採用した。結果は、2回のチャレンジがあり、ともに成功(判定が変わった)。安藤賢三審判委員長は「正確な判定を、という点では、よかったです」と胸をなでおろした。誤審がなくなるという意味では、審判員にとってもいい制度だと言う。

▲6年生の決勝のみテスト実施されたチャレンジ。左端が安藤賢三審判長

 全国少年少女連盟のルールが変わり、テークダウンが2点、場外は1点、延長戦なしなど、世界レスリング連盟(UWW)のルールに近くなり、チャレンジ導入の動きも出ている。1月下旬の全国少年少女選抜大会(東京)では最終日のみテスト実施。25回のチャレンジがあって、成功が10回、失敗が15回。大会の矢動丸靖審判長は「審判にとっても、ビデオで正確な判定ができますので、その点では導入してよかったと思います」と話した(関連記事)。

 そのときは、今夏の全国大会(7月25~27日、東京・代々木競技場第1体育館)でも実施へ、という流れだったが、同連盟の桑田信明事務局長によると、今回は見送りとのこと。同大会は2面マットだったが、全国大会は6面マットで行われるので、経費面とスタッフ数の問題で同じようにはできない。今年の実現は見送りとなり、引き続きの検討事項となったと言う。

「やってみてこそ、議論が始まる」…吹田市民教室・今川加津雄会長

 こうした流れもあり、今大会では6年生の決勝に限ってテスト採用に踏み切った。押立杯の主催者である吹田市民レスリング教室の今川加津雄会長は「全国少年少女連盟も導入を検討している案件。審判も万能ではないし、見る位置によっても判断が違う。選手もセコンドも納得して勝敗を受け入れるためには、いい制度だと思います」と話す。

 ただ、導入によって大会運営に時間がかかることは予想される。広範囲から参加選手を集めている大会では、帰路の時間の問題もあり、終了予定時刻を大幅に過ぎることは避けたい。撮影スタッフの問題などもあって、内部でも賛否があったのは事実だが、「そんなことを言っていたら、いつまでもできない。やってみてこそ、議論が始まる」と、6年生の決勝に限って実施した。

▲開会式であいさつする吹田市民教室の今川加津雄会長

 安藤審判委員長は「6年生以外でも、決勝だけは取り入れた方がいいような気がしました」と話す。複数の審判員がビデオをじっくりと見て判定を下すことで、「保護者の方も、しっかり判定してくれている、と納得してくれるでしょう。選手ファーストという観点からすれば、あった方がいいのではないでしょうか」と言う。

 問題は時間。チャレンジが当たりまえの光景になると、試合終了間際のいわゆる“ダメ元チャレンジ”が増えることが予想され、試合時間が延びることへつながる。「全試合というわけにはいかないでしょうね」と話した。正確な判定と時間・経費、この2つの問題をどう対応していくか。十分なテストと議論が望まれる。