昨年のパリ・オリンピック男子グレコローマン77kg級優勝の日下尚(マルハン北日本カンパニー)が6月6日、明治杯全日本選抜選手権(6月19~22日、東京体育館)へ向けて、オンラインで報道陣の取材に応じ、国内では約2年ぶりとなる大会、さらに日本の男子グレコローマンでは達成者がいないオリンピック2連覇へ向けての決意を話した。
大会まで約2週間となり、そろそろ減量期に突入したそうだが、体力維持の“必須”でもある香川産の「うどん」はまだ取り入れていない。体調を見ながら「うどんを食べればバチバチになるでしょう」と話し、コンディション調整をしっかりして臨む予定。
2023年9月の世界選手権でオリンピックの代表を決め、その後は外国選手対策に専念したので、国内大会に出場するのは同年6月の明治杯と2週間後に行われたプレーオフ以来。日本選手を相手にする約2年ぶりの今大会を「世界選手権で優勝するための通過点」と位置づけ、オリンピック・チャンピオンのプライドを見せて圧倒的な強さで勝ち、「成長している姿を見てもらうのが目標」ときっぱり。
日本の男子グレコローマンでオリンピック2連覇を達成している選手がいないことのふれ、「歴史に名前を残したい」とも強調した。
オリンピックで優勝したことで、心のどこかに慢心が芽生えている可能性を否定しなかったが、「それに負けてはオリンピック2連覇はない」と気を引き締める。パリへ向けては、がむしゃらに練習量を積み、あまり考えることもなく「勢いと執念で勝った」と振り返った。それだけに、自分のレスリングはまだ完成していないと感じていて、ロサンゼルス・オリンピックへ向けては、足りないものを考えながら、周囲に研究されてもその上をいくレスリングを目指して臨むという。
大の巨人ファン。“ミスタージャイアンツ”長嶋茂雄氏が亡くなった6月3日の朝練習は、1年くらい前に巨人の試合を見に行ったときに買った長嶋茂雄氏のTシャツを着て練習しており、その後、死去を知ったという。「スポーツの素晴らしさを世間に伝えてくれた方ですよね」としんみり話し、自分はレスリングの素晴らしさを世間に伝えたいという気持ちを披露。
長嶋氏は現役時代を見たこともない雲の上の存在だが、大相撲で横綱昇進を決めた大の里は、日体大同期生で身近な間柄。「うれしいし、刺激される」と話す。レジェンドの思いと同級生の快挙を受け、日下が国内復帰戦へ臨む。