2024年U23世界チャンピオンを経て米国の大学レスリングに挑んでいる坂本由宇(マッキンドリー大)に続き、日本女子選手として吉川早紀(WRESTLE-WIN)のリンデンウッド大への入学が決まった(8月入学)。今年3月の全米女子大学選手権(NCWWC)7位のチームだが、全米体育連盟(NCAA)のDivisionⅠ(一部リーグ)に所属している女子5チームのうちのひとつ。潤沢な資金と練習環境の中で飛躍が期待される。
同選手は東京・ゴールドキッズでレスリングを始め、10歳のときに父親の仕事の関係で米国へ。2017年のU14全米選手権(フリースタイル)で優勝したほか、同準優勝1回、カレッジスタイルでも準優勝1回。グレコローマンの男子トーナメントに参加してテキサス選手権で準優勝などの実績を残し、フリースタイルにとどまらず、各スタイルでも活躍した。全米優勝のときには、在ヒューストン日本領事館から表彰されている(クリック)。
※カレッジスタイル(フォークスタイル)=主に米国の高校や大学の男子で行われているスタイル。選手は試合の一部を下のポジションから開始。相手をコントロールし、エスケープやリバーサルを通じてポイントを獲得することが重視されるスタイル。高校女子は、学校対抗戦などのメインはカレッジスタイル。大学女子はフリースタイルで行われている。
帰国後は東京・下北沢成徳高校に通い、WRESTLE-WINでレスリングを続けた。昨年のU20世界ビーチ選手権7位、今年4月のジュニアクイーンズカップU20-55kg級ベスト8などの成績。2人の兄がいて、長兄はトライアスロンのカレッジ・ナショナル王者、次兄はアメリカンフットボールでNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)の日本人第1号選手を目指してNCAA DIV-1強豪大学に在籍しており、刺激を受けての米国大学レスリング挑戦。
来シーズンからレスリング女子も全米大学(NCAA)選手権に加わる。米国の大学は、日本のように競技別・実力別でDivision分けされているわけではなく、その大学全体(全競技)の財政、施設、運営体制、多くのメディア露出などが考慮されて分かれている。Division Ⅰは潤沢な資金と支援体制があり、ステータスが高く、プロ選手を輩出することも多い。アメリカンフットボールやバスケットボールなどの人気スポーツで収入源を確保し、他の競技を支えているのが普通。
レスリング男子のNCAA・Division Ⅰには75~80校が存在(入れ替わりがあるため、正確な数字は変動する)。女子は、Division Ⅰ=5校、Ⅱ=34校、Ⅲ=68校でレスリング部が存在(同)。今年1月17日に、91番目のNCAA選手権競技と認定され、初回の大会は2026年に開催予定。この大会では、ディビジョンI、II、IIIのすべての女子レスリング選手が参加。各地域からの選手が大会に参加できるように、地域ごとの予選が行われる。将来はDivisionごとで試合をやるように成熟していくと思われる。
(下の動画は、2019年フォークスタイル・ガールズ・U14ナショナルチャンピオンシップ準決勝=赤が吉川)
米国の女子レスリングは、近年急速に成長しているスポーツ。NCAA選手権に女子が加わったことは、女子レスリングの未来に大きなステップとなることを意味し、参加する選手にとっても大きなモチベーションとなるイベントに発展することが予想される。
来シーズンは男子で2選手(小野正之助、坂本輪)が米国で活動することが決まっている。女子も日本の2選手が米国大学界を席巻するか
■WRESTLE-WIN・永田克彦代表の話「素直で真面目な子で、高校入学時から頑張ってきましたね。今しかできないチャレンジは素晴らしいです。応援しています! 何よりも、楽しんで充実したレスリング生活となることを願っています」
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