8連覇を目指した周南公立大は、初日の予選2回戦で九州共立大に黒星を喫し、連続優勝が途切れて3位に終わった。守田泰弘監督は全試合終了後、プロ野球の名選手&名監督の野村克也氏(故人)の名言、「負けに不思議な負けなし」と第一声。負けには必ず理由があり、偶然や運が悪かっただけでは負けないという意味で、「弱かった、ということです」と続けた。
進行の関係で決勝と3位決定戦が同時進行。3位決定戦の闘いに必死で、決勝をじっくり見ていたわけではないが、そのマットに立てなかったことに「悔しい気持ちがありました」と言う。昨季まで7回連続で胴上げしてもらったことは「監督冥利に尽きる」と言う一方で、「今は、すーっと受け入れられないですね」と寂しさをにじませた。
けがで主力1選手を欠いていたものの、今までにもそういう状況はあり、それででも勝ってきた。それこそが団体戦王者の条件。「そこまでもっていけなかった。技術、戦術でもう少し工夫があれば、勝てたのかな、と悔いが残る面はあります」と言う。
2021年秋季から優勝を続けていたので、今の部員はリーグ戦での負けを経験したことがない。予選で負けたことを「受け入れるのに時間がかかったと思う」と振り返る。それでも、目は死んでいなかったそうで、最後は3位を確保するための必死さあふれており、「強くなるための要素は感じられた」と言う。今回の負けで学生選手が修正点、改善点を気づき、「それに取り組むことでチームのレベルが上がっていけばいいと思う」と期待した。
九州共立大に負けたとはいえ、同大学がその後の帝塚山大に負ければ、3すくみになって予選1位の可能性もあったが、戦力の厚さからそれはないと判断。予選最後の福岡大戦は、1年生を中心に起用して下級生に試合の機会を与えた。優勝がかかっているときは、そうしたことがなかなかできなかった。結果は3-4の黒星だったが、そのスコアでも予選2位を確保できることは計算済み。選手は監督の采配の意図をしっかりと受け止め、今後につなげなければならないだろう。
ただ、福岡大に負けたことで2~4位が3すくみとなり、予選3位を予定していた帝塚山大が4位となってしまい、同大学の鈴木貫太郎監督から「何してくれるんや…」と冗談口調で“抗議”されたそうだ。「勝つつもりでした。意図して負けたわけじゃないんですよ」と苦笑い。
大体大に日体大時代の先輩だった湯元健一監督が就任し、西日本学生界のレベルアップが見込まれる今後。「活性化につながる。西が盛り上がるのはいいこと。(自分たちが)勝ち続けることも大事ですが、全体が強くならないと」と、その状況を歓迎。自分たちも連覇する前から強かったわけではないので、大体大もこれから躍進できる可能性を口にしたが、「よそのことを考える状況じゃなくなる」と表情を引き締め、王座奪還へ向けて「学生に向き合っていきたい」と話した。