2025.05.10NEW

【2025年全国中学生選手権・特集】「グレコローマンの普及に努力していきたい」…全国中学生連盟・松﨑忍会長

 第51回を迎えた沼尻杯全国中学生選手権は、3月のJOC杯U15アジア選手権(東京・立川市)に続いて男子グレコローマンを取り入れ、中学生のグレコローマン選手の闘いが展開された。全国中学生レスリング連盟松﨑忍会長に、グレコローマン採用を含めて大会を振り返ってもらった。(2025年5月5日、アダストリアみとアリーナ)


「1階級16選手くらいを目指したい」…初実施のグレコローマン

--今年から男子グレコローマンの実施が始まりました。

松﨑 ここ4~5年、多くの検討を重ねて進めてきました。この世代では、まず今年3月のU15全日本選手権で取り入れたわけで、私も視察しました。中学生でもグレコローマンの形になっており、大きなけがもなく終わり、今大会に向けて、ある程度は安心できました。いざ実施するとなると、けががないように、と心配していましたが、大きなけがもなくホッとしています。指導者の方々の熱心な指導のたまものと感謝しています。

▲グレコローマンの第1回大会の決勝進出選手=撮影・矢吹建夫

--中学世代のグレコローマンにめどがついた、という感じでしょうか。

松﨑 そうですね。現段階では、やってよかった、と一安心しています。今後、アジアや世界で闘っていくためには、中学世代のグレコローマンの普及にもっと努力していきたい。それが日本レスリング界の発展につながるわけで、その一助になればいいと思います。日本協会の富山英明会長とも「やらなければ前へ進まない」といった話をしまして、ここまできたら躊躇(ちゅうちょ)することなくやっていきたい。

--グレコローマンのエントリー81選手(フリースタイル408選手)は、どうお考えになりますか?

松﨑 50選手を超えればいい、くらいの気持ちでした。3選手の階級もあって、平均すると7人程度ですが、最高は13選手(52kg級)。そこそこの試合数はこなさせることができました。エントリーが多ければ選手も頑張るわけで、第1回としては上出来の選手数だったと思います。

--理想はフリースタイルとグレコローマンが半々でしょうか。

松﨑 日本の場合、そこまでいくのはちょっと厳しいと思います。フリースタイルでも重量級は少ないわけですが、せめて1階級16選手くらいはそろってほしい、というのが今の気持ちです。

▲中学世代のグレコローマンの振興に向かう全国中学生連盟の松﨑忍会長=撮影・矢吹建夫

この大会で経験を積み、国際舞台での好成績

--選手数は変わらなくとも(両スタイルのどちらかにしか出場できないため)、決勝戦の数が増えたわけです。それによる運営面の支障はありましたか?

松﨑 昨年度から男女合わせて700人近くが参加しています。初日の試合数が多くなったので、6面マットでやることになりましたが、昨年やったことで慣れができたのでしょうか、非常にスムーズでした。初日は午後4時半くらいには終了し、最終日も予定より早く終わりました。それに伴って審判員の数も必要となり、全国から集まってくれた審判員の皆さんには、本当にご苦労様とお伝えしたい。階級が増えてスタッフは大変になったのは確かですが、選手のために頑張ってもらいたいと思います。参加料を1,000円値上げした分、スムーズな運営でお返ししたい。

--今年はゴールデンウイークの開催で、交通手段や宿舎の確保が大変でしたが。

松﨑 選手の家庭には経費面も含めて大変な思いをさせてしまいました。6月に体育館の改修工事があり、今年はやむをえなかったことをご理解くださるようお願いしたい。エントリーが、昨年は696人で、今年は667人と減ったことは、ゴールデンウイーク開催の影響だったかもしれません。来年からは6月、基本的に第2土・日曜日に戻します。700人を超える参加を見込んでいます。

--グレコローマンの参加選手も多くなると思います。

松﨑 U15アジア選手権にはつながらない大会になりますが(日本代表は3月のU15全日本選手権で決定)、日本代表になった選手には、この大会で経験を積んでもらい、国際舞台での好成績につなげてほしい。フリースタイルも含めて、そうした大会にしていきたいと思います。

▲6面マットが定着した大会。来年からは6月開催に戻って発展を目指す=撮影・矢吹建夫