2025.05.09NEW

【2025年全国中学生選手権・特集】2試合に圧勝! 7月には世界に挑む…男子フリースタイル110kg級・林絆斗(京都・網野町少年教室3年)

 先月のJOC杯U17全日本選手権(横浜)の男子フリースタイル110kg級を中学生にして制した林絆斗(京都・網野町少年教室3年)が、この大会の110kg級も2試合に圧勝。強さを見せつけた。

▲4月のU17全日本選手権に続いて栄冠を手にした林絆斗(京都・網野町少年教室)

 林は「うれしいです。日々の練習で、どうすれば勝てるかを考え、先生(吉岡治代表)や先輩(丹後緑風高校の選手)と積極的に練習をやって、アドバイスを聞いてきたのが勝因だと思います」と優勝を振り返る。110kg級選手の体格は、代表を含めてチームの中で最も大きく、パワーもあると思われるが、「技術など学ぶことは多いです」と話す。

 昨年のこの大会は、決勝で1学年上の選手にテクニカルスペリオリティで敗れて2位。その選手に11月の全国中学選抜U15選手権では5-4で勝ち、中学になって初の全国優勝。今年のU17全日本選手権決勝では、同じ相手にテクニカルスペリオリティで勝利。結果からして、実力をめきめきつけていることが証明されている。

 中学生相手にはかなりの自信があったことだろう。先輩とのスパーリングだけではなく、バーベルやスクワット、相撲の四股(しこ)といった体力トレーニングにも力を入れ、体づくりにも力を入れてきたと言う。

▲昨年の決勝は1歳上の選手に完敗。この1年間で大きく成長した=撮影・矢吹建夫

強豪チームを求めて母・姉と網野へ引っ越す

 レスリングは、両親がやっていたことで、保育園のときに双子の姉・美琉子(今大会の女子62kg級2位)とともに始めた。そのときは京都市内のクラブに通っていたが、休部になったことで、小学校1年生から網野少年教室に通うことへ。吉岡代表が、高校は違うが父の1年後輩で顔見知りだったことで、父が京都市内に単身で住み、母、姉とともに網野へ移って続けることになったと言う。

 「3人で暮らしています。あと、猫がいまして…」と、はにかみながら話す表情は、屈強なヘビー級選手というイメージではなく、純真な中学生といったところ。猫に癒やされながら、毎日の厳しい練習をこなしているのだろう。

▲2試合に圧勝し、超中学級の強さを見せた林絆斗=撮影・矢吹建夫

 「網野でレスリングを本当にやってよかったと思います」と、ここまで育ててもらった教室に感謝の言葉を口にした林。「先輩達の後ろ姿を見て、先輩達みたいになりたい、と憧れました」が、努力を続けられた要因。強豪先輩へのあこがれが、自身の頑張りにつながった。

双子姉弟の相乗効果で飛躍を目指す!

 「最もあこがれる先輩は?」の問いには、オリンピアン(高谷惣亮・大地)を筆頭に多くの強豪を生んできた網野少年教室だけに、「めっちゃいて、答えられないです」と苦笑い。やや時間をおいて、「三浦哲史先輩(拓大=2023年全日本選手権・男子フリースタイル92kg級王者)ですね」と答えた。

 同じ重量級の選手という要因もあるのだろうが、吉岡代表によると、海外遠征のときに支給される日の丸入りのバッグを三浦先輩からプレゼントされたりして、直に接する機会も多かったとか。身近に強豪がいるチームは、次々といい選手が生まれる例だろう。

▲国内で無敵を見せつけ、7月には世界へ挑む!

 吉岡代表は「マットワークもトレーニングも、よく練習しています」と、練習熱心さが飛躍の原動力と分析。今回は姉が2位に終わり、2021年全国少年少女選手権(熊本)以来の双子優勝はお預けとなったが、双子の相乗効果での飛躍を期待する。

 U17全日本選手権を制したことで、U17世界選手権(7月末、ギリシャ)へは、現在の年齢区分になってから初めて中学生として最重量級へ挑むことになる。日本の重量級の選手は海外では非常に厳しい状況だが、「外国の選手は体が大きいですが、海外のレベルを知りたい。自分がどのあたりにいるのかを確かめたい」と話し、「まず1勝」を目標に挑む予定。「けがをせず、上半身も下半身も鍛え、技術も増やしていきたい」と話し、世界への飛躍を目指す!