2025.04.12

欧州選手権の表彰式でUWWミハイル・マミアシビリ副会長が暴挙?…ロシア・メディアも非難

 欧州の多くのメディアは、4月7日からスロバキア・ブラティスラバで行われている2025年欧州選手権における世界レスリング連盟(UWW)ミハイル・マミアシビリ副会長(ロシア連盟会長)の行動を問題視し、暴挙と指摘。同副会長の地元のロシア・メディアも「ロシア全体の評判が損なわれた」と厳しく非難した。

 問題があったのは、9日にあった男子フリースタイル74kg級の表彰式。同級の決勝で、2023年までロシア国籍で現在はアルバニア国籍となっているチェルマン・バリエフが2021年東京オリンピック優勝のザウルベク・シダコフ(UWW=ロシア)を4-2で破って優勝した。表彰式のプレゼンターを務めたマミアシビリ会長が金メダルを手渡すとき、メダルをワリエフの首にかけながら引き落とす行為をやり、「裏切り者」という言葉を投げかけたという。

 同選手(現在26歳)はロシアの選手として2021年U23世界選手権を制するなどしたあと、2024年に国籍をアルバニアに変更。パリ・オリンピックの世界最終予選で3位となって同オリンピックに出場し、銅メダルを獲得した。今年もフランスとアルバニアでの国際大会で優勝し、この大会で元オリンピック王者を破る強さを見せた。

 マミアシビリ副会長にすれば、元ロシア選手の快挙が面白くなかったのかもしれない。この行為を多くのメディアが非難。ロシアの「スポーツエクスプレス」は、ロシアの男子フリースタイル代表チームの元ヘッドコーチ、ジャンボラト・テデエフ氏が「連盟のトップの名誉を傷つけるだけでなく、 ヨーロッパ全土に生中継されたことでロシア全体の評判も損なわれた。 自分が代表を務める国の評判を守らないことこそが裏切り」とSNSに投稿したことを報じ、厳しい論調で同国会長の行動を批判した。

 当のバリエフは帰国後、ロシア・メディアのインタビューに対して、「彼は私を祖国の裏切り者と呼びました。混乱しました」と証言。「表彰式のあと、彼に会ったか?」との問いに、「会おうとしたが、主催者に止められた」と話した。同選手は国籍変更に関し、「すべての国際手続きを尊重した。UWWに5000ユーロ(約812万円)、ロシア・レスリング連盟にも5000ユーロの移籍金を支払いました」と、規定にもとづいた行動であることを強調した。

 マミアシビリ副会長は「ワリエフを祝福しただけで、侮辱的な言葉は一切なかった。私は彼の成功を祈った。もしかしたら、それに対して彼が驚いたのかもしれない」とコメントしている。

▲“事件”を報じ、UWWマミアシビリ副会長を非難するコソボのメディア

 表彰式での暴挙といえば、2009年にJリーグで負けたチームの選手がそっぽを向いたり、ガムをかみながらふてくされた態度をとったことが問題になったことがある。プレゼンターの暴挙は世界的にも前代未聞なのではないか。マミアシビリ副会長がUWWの中で強い実力を持っているのは周知の事実。UWWの対応が注目される。

 前記のJリーグ選手の行為が問題になったときは、鬼武健二チェアマンが「負けたのは己の責任だ。賞金(2位5000万円)を返せといいたいくらい」と厳しく叱責。当該チームの社長が「首にかけて頂いた準優勝メダルを外す行為」「握手を拒む行為」「壁に寄り掛かる、しゃがみ込む行為」「ガムを噛みながらの表彰式参加」の非を認めて謝罪した。

 当時の日本レスリング協会・佐藤満強化委員長(現専大部長)は、全日本合宿でのミーティングでそのときの動画を流し、「こうした行為は絶対に許さない」と厳しく警告した。