世界レスリング連盟(UWW)は3月3日、公式サイトで2025年ランキングシリーズ第2戦(アルバニア)の男子グレコローマン60kg級で優勝した塩谷優(自衛隊)のリバースリフト(俵返し)を特集。5試合で取った53点のうち、33点をこの技で獲得しており、「試合を重ねるごとに、彼はこの技を試し、まるで相手が防御方法を知らないかのように成功させている」と説明している。
「塩谷はリバースリフトを狙っていることを隠していない」とも記述。グラウンドで攻撃体勢になったあと、相手の胸に両腕を回してクラッチを組み、素早く腰の位置へ移動。相手が防御のために頭を上げようとしても、がぶり返しなどで得点を上げる能力を持っているので、得点の選択肢は広がるばかりだと賞賛。
塩谷は「持ち上げられると感じたときに持ち上げるようにしている。体が勝手に動くような感じです。どんな状況でもリフトできるように常に練習している」とコメント。「フォールに行けるような場面でも、あえてリフトしているように感じられるが?」との質問に、「上げたいからかな(笑)。フォールが決まるかどうか分からないときは、持ち上げるようにしている」と話した。
オリンピック3連覇のアレクサンダー・カレリン(ロシア)も、相手がカレリンズ・リフトを恐れて自らフォール負けを選ぼうとするところを、強引に持ち上げてマットにたたきつけることが多くあった。塩谷が歯を食いしばって持ち上げているのは「まさにカレリン」と評し、リバースリフトの醍醐味であると強調している。
2021年に55kg級でアジア選手権のグレコローマン日本男子最年少王者(当時)に輝いた塩谷が、60kgのUWW公認の国際大会で闘うのは2度目(注=国際大会としては、昨年11月の韓国オープンに出場している)。「階級を上げて以来、体を鍛えれば勝てると常に信じてきました。それができてうれしいです」とのコメントが紹介され、今後の活躍を期待している。
パリ・オリンピックまでは、文田健一郎(ミキハウス)の「反り投げ」が世界の脅威となっていた。2028年ロサンゼルス・オリンピックへ向けては、塩谷の俵返しが世界を席巻するか。そのためには全日本王者の稲葉海人(滋賀県スポーツ協会)やアジア大会2位の鈴木絢大(レスター=今は63kg級で活動中)ら国内の強豪選手を破らねばならない。
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