2025.03.02

「大人も子供も、みんながレスリングを楽しんでいました」…米国プロ大会に出場した高谷大地(自衛隊)が報告

 2月26日に米国・アイオワ州コーラルビルで行われたプロ・レスリング・マッチ「Flo Wrestling Night In America」関連記事)に出場した男子フリースタイル74kg級の高谷大地(自衛隊)が帰国し、3月1日、東農大で行われた東日本学生連盟の研修会で「オリンピック・メダリストを目指してきて」をテーマに講演。そのあと、日本では行われていない“興行としてのイベント”に関する取材に応じた。

 試合はワンマッチが13試合(他に、高校生の試合が3試合)。会場は東京・駒沢屋内球技場よりやや小さめの体育館で、会場の中央にマットがあり、選手は花道を通って入場。VIP席と通常の観客席に囲まれて試合が行われる。プロレスやプロ格闘技イベントのレスリング版。満員の観客で埋まっており、レスリングをよく知っていて、勝負どころで大歓声が沸くという。「大人も子供も、みんながレスリングを楽しんでいました」と言う。

▲満員の観客の中で行われたイベント。パリ・オリンピック銀メダリストの高谷大地に大歓声が送られた=本人提供

 レスリングが強さを競う競技である以上、トーナメントンでチャンピオンを決める大会が行われるのは当然だが、レスリングの発展のためには、興行の要素を強く持つこうしたイベントも必要と言う。「その2つをしっかり分けてやることでいいと思います。演出などプロデュースの仕方も参考になりました」と、“プロ大会”に接した感想。

多くの人に見られた中での試合で、レスリングの価値が上がる

 「日本は選手が強くなるための環境が整っていて、しっかりと組織化されています。それが日本の強みでしょう」と話す一方、「それの発信、それによってお金が回るシステムはあまりできていない」と言う。強化が何よりも重要ではあるが、「多くの人に見られる中で闘うことも必要。それによって、レスリングの価値につながる。イベントとしてのレスリングをやることで、ファンを作り、開拓していくことになると思います」と言う。

 大会の告知もすごく、主催の「Flo Wrestling」はこの大会へ向けてかなり大がかりな前宣伝を実施。それ以外のイベントの告知もSNSで頻繁にやっており、「注目選手がいれば、その選手の映像が常にSNSで流れています。すごい取り組みですね」と舌を巻く。

 米国の選手は、日本がパリ・オリンピックであれだけの強さを見せたのに、人気が今ひとつということに、「なぜ?」という疑問を持っているそうだ。高谷は「(パリで注目された)今がチャンスだと思うんです。外へ向けてレスリングをしっかり発信し、世間の関心を集めたい」と、人気獲得への気持ちを話した。

▲現地の子供達と記念撮影をする高谷=本人提供