中学時代に圧倒的な強さで全国王者に輝き、昨年はインターハイと国民スポーツ大会を制して階級を上げたリボウィッツ和青(のあ=東京・自由ヶ丘学園)が、2024年度関東高校選抜大会の個人対抗戦125kg級でも、決勝も1分かからない圧勝で勝ち抜き、新階級での全国高校選抜大会出場を決めた。
リボウィッツは「今まで練習してきたことを出せてよかった」と喜びを話すものの、「最近、自分の思うような結果が出せずに苦しい時期が続いてきた。この大会も満足できる内容ではない」と、達成感はあまりない様子。準決勝で阿部天臥(栃木・足利大附)に自滅ながら4点を取られたことや、前日の学校対抗戦でも阿部と花咲徳栄の横山慎志にそれぞれ2点を取られており、無失点の試合が続けられなかったことに不満が残ったようだ。
4失点は相手のタックルを受けて切ろうとしたときに迷いが生じ、一気に取られた。「ポイントを取られたことをしっかりと振り返り、今後の課題として取り組みたい」と話した。
「最近、自分の思うような結果が出せない」は、ちょっと疑問が出てくる言葉。負傷を乗り越えた昨年は、インターハイと国民スポーツ大会を順調に制したのだから。これは初出場した昨年12月の全日本選手権で、1点も取れない2連敗だったことを指していた。
石黒峻士(MTX GOLDKIDS)、二ノ宮寛斗(不二精機)という全日本のトップ選手が相手なら、経験として考えれば十分だろうが、「昨年は全日本選手権で勝つことを目指してやってきました。インターハイや国民スポーツ大会で勝てても、全日本ではまだまだでした」という現実を知り、不満が残った1年だったという。それは、意識の高さでもある。
当然、125kg級に上げた今年も高校生の大会では「勝つのが当たりまえ」の気持ちで臨む腹積もり。4月のJOCジュニアオリンピックカップはU20のカテゴリーになるので、大学選手との闘いもある。全日本で勝つ前の段階として、ここで勝っておくことも必要。97kg級での出場となれば(注=高体連の大会は92kg級の上は125kg級)、高校に進学した年(2023年)に大きな壁となった甫木元起(日体大=当時佐賀・鳥栖工)との闘いもありうる。
甫木は1年生で大学王者に輝き、全日本選手権でも3位に入賞するなど、大学へ進んだあとも力をつけている。「手足が長く、レスリングもうまい」という選手だそうだが、「それを上回るレスリングで、必ず勝って、世界へ出て優勝したい」とリベンジを目指す。
学校対抗戦で優勝できなかったことも「めちゃめちゃ悔しいです」と振り返る。八隅士和(昨年、3つの全国大会とJOC杯U20で優勝)というエースが抜けて厳しい状況になっているのは確かだが、「チーム力と努力と根性で勝つのが学校対抗戦。今回はそれができなかった。次は頑張りたい」と力を込めた。