2025.01.24

【2025年全日本マスターズ選手権・特集】2試合に圧勝! 世界一返り咲きに一直線…DivisinB 62kg級・藤本健太さん(三恵海運)

 2019年の世界ベテランズ選手権で優勝、昨年は1回戦負けで、世界一返り咲きを目指す藤本健太さん(三恵海運)が、2025年全日本マスターズ選手権のDivisinB 62kg級で2試合をテクニカルスペリオリティで勝って優勝。目標へ向けて、まず国内予選とも言える大会を突破した。

▲パリ・オリンピックで金メダル2個の三恵海運の監督としても活躍する藤本健太さん(中央)。世界一返り咲きへ向けて幸先いいスタートを切った

 藤本さんは「去年の世界ベテランズ選手権の反省をふまえ、ふだんの生活で朝のランニングをやり、週3回ほど関西大学でマット練習を行うなど、できる範囲で練習をしっかりやって準備してきました。世界で勝てるレベルには、まだ体力的な面で追いついていないかな、と感じました」と話し、この優勝は世界再挑戦の過程であることを強調。

 初戦の準決勝は、アマレス兄弟として知られる高八重正志さんが相手。同選手は1回戦をフォールで勝って藤本さんとの対戦となったが、同選手のフェイスブックによると、これがレスリング生活初の勝利だとか。気持ちをよくしての藤本さんとの対戦だった。

 しかし、メディアをにぎわしてレスリングの宣伝に尽力している相手であっても、勝負の世界では、手を抜くことはかえって失礼になる。藤本さんは開始から一気の攻撃でポイントを重ね、最後は豪快なバック投げを決めて約30秒で圧勝。世界一返り咲きを目指す実力を見せつけた。

▲1回戦が豪快なバック投げを見せて30秒で快勝

 フリースタイルを中心にやってきた藤本さん(大阪・近大付高時代は全国高校生グレコローマン選手権優勝の経験あり)がバック投げを仕掛けるとは意外だが、「(8-0となって)スタンドを待とうとしたんです。でも、セコンドや周囲から『一気に行け!』という声が聞こえたので攻めたら、たまたまああいう形になったんです」と照れ笑い。「相手選手に失礼のないよう、全力で闘わせてもらいました」と言う。

昨年12月にはパリ・オリンピック銅メダリストとも練習

 決勝は、昨年の世界ベテランズ選手権のチームメートの中村大(埼玉・和光グラップリング)が相手。カテゴリーA(35~40歳)で昨年のこの大会でも優勝し、今年はBに参戦してきた選手。エントリー選手の中で「一番警戒していた」とそうで、出場してくることが分かったときから動画を見るなどして研究してきた。

 そのおかげもあって、第2ピリオド、27秒を残して10-0で勝利。「内容はよくなかった」と言いながらも、危ないシーンもなく失点を許さずに勝ち上がった。「あと数ヶ月、しっかり練習して世界ベテランズ選手権で優勝できるよう頑張りたい。圧勝して勝つことを目標にしたい」と話す。

▲固い守りで決勝も失点0のテクニカルスペリオリティ勝ち

 とはいえ、マスターズの選手が出る試合は限られているのが現状。そこで、「コンディションがよければ」と前置きして、7月の全日本社会人選手権への出場も視野に入れ試合感覚のキープを目指すことも考えている。

 「髙田肇社長と職場の理解があり、練習環境は恵まれています」と言う。三恵海運の監督として、髙橋夢大ら所属選手の練習視察でときに日体大を訪れ、練習に参加させてもらっているので、かなりハイレベルの練習も積めている。

 昨年12月には、パリ・オリンピック57kg級銅メダルのアマン(インド)が来日して日体大の練習に参加しており、スパーリングもやったそうだ。「体力がすごくて、けちょんけちょんにやられました。でも、自分の力になっています」という経験も積めた。世界一返り咲きへ一直線-。

▲2年連続優勝の藤本さん。世界一奪還へ向かう