2013.02.12

男子グレコローマンの全日本選抜チームがハンガリー遠征へ出発

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

男子グレコローマンの全日本王者4選手を含めた全日本選抜チームが2月11日、成田空港発のオーストリア航空でハンガリーに向けて出発した(右写真)。地元チームほか欧州数ヶ国と合同合宿をしたあと、23日(土)~24日(日)にソンバトヘイで行われるゴールデン・グランプリ予選大会「ハンガリー・グランプリ」に参加する。

 欧州勢との合同合宿~大会出場というのは、これまでに何度も実施してきたグレコローマンの冬の恒例強化。合宿には世界選手権や五輪のトップ選手の参加も予想される。元木康年監督(自衛隊)は「世界を目指すうえで、この合宿と大会参加ははずせない強化。この遠征の位置づけは大きい」と話す。

 半数以上が冬の全日本遠征に初参加という若いチームに対しては「国内でチャンピオンになったから世界で勝てるものではないことを体感してほしい。世界を見て、そこから逆算した練習をこなすためにも、しっかりと世界を見て帰ってきてほしい。スパーリングはマットを下りない気持ちで挑んでほしい」と注文。

 大会出場を意識して合宿で力を抜くことのないよう指導していきたいというが、遠征参加を希望してきた選手ばかりで、世界に目を向けたやる気のある選手ぞろい。その心配はなさそうだ。

■教え子の応援を受けて初の全日本遠泳に挑む井上智裕(兵庫・育英高教)

 チームで唯一の五輪代表選手である96kg級の斎川哲克(両毛ヤクルト販売)は「ハンガリーは何度も行っているので特別に不安はない。自分の課題を克服してきたい」との抱負。今回のチームでは最年長となり、模範を示さねばならない立場となって「気持ちが引き締まります」と言う。

96kg級に上げたのは、ロンドン五輪の1年前を切った頃。世界3位の選手を破ったりもしたが、96kg級としての強化期間が短かった一面はある。「結果が出ませんでしたから、それが逃げ道になっていたと言われても仕方ないでしょう」と振り返るとともに、2016年リオデジャネイロ五輪に向けては、4年間をかけてしっかり強化したい腹積もり。「頑張るだけです」と気合を入れた。

 伏兵の存在から全日本王者となり、今回の遠征に参加する74kg級の井上智裕(兵庫・育英高教)は「アジア・ジュニア選手権に参加したことはありますが、ヨーロッパ遠征は初めて。レベルも違うでしょうし、緊張している。不安も多いです」と正直な心情を吐露した。

 高校教員であり、昨年は高校選手を教えるとともに「楽しみながらレスリングをやっていた」が、その無欲さがよかったのか、全日本選手権で優勝することとなった。「1月の全日本合宿に出て、やっと全日本チームのメンバーになった実感が湧いた」という。「ここまできたら、上を目指したい」と気持ちが変わり、今回の遠征で飛躍のきっかけをつかみたいところ。

 「教えている選手の手前、みっともない試合はできない」という教員選手共通の思いを胸に、ヨーロッパのグレコローマンに挑む。

 派遣選手は下記の通り。26日に帰国する。


【コーチ】元木康年(自衛隊)

【帯同審判】藤本賢一(奈良・二階堂高教)=大会のみ

【選手】
▼55kg級 田野倉翔太(日体大)
       清水早伸(自衛隊)
▼66kg級 音泉秀幸(日体大)
▼74kg級 井上智裕(兵庫・育英高)
▼84kg級 岡 太一(自衛隊)
▼96kg級 斎川哲克(両毛ヤクルト販売)