2012.12.24

【全日本選手権最終日】注目選手・談話

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(文=増渕由気子・三次敏之・渋谷淳、撮影=矢吹建夫 / 12月23日、東京・代々木競技場第2体育館)


  ■男子グレコローマン66kg級・音泉秀幸(日体大=全日本選抜選手権から4大会連続優勝中だったが、今回は清水博之に敗れて2位)「全日本選抜選手権では、清水さんは上の階級に出ていた。66kg級に下げてきたので、ここで自分が勝てば、(実力は)本物だなと思っていたが、負けてしまった。

 まだ力が及ばなかった。それでも、力は五分だと思っている。足りないものは詰めの甘さと試合の展開能力です。これがまだ清水さんのほうが一枚上手だった。

 日体大時代はいろいろなことがあって、公式戦に出られたのはほぼ1年程度でしたけれど、松本慎吾監督や藤本英男先生についてきてよかったなと言える4年間でした。卒業しても企業でレスリングを続けられる予定です。(いろいろなことがあったが、実力がここまで伸ばせたことは)本当に良かったです」(右写真)


 ■男子グレコローマン74㎏級・中村隆春(日体大=昨年の学生二冠王者で今年のJOC杯王者。2回戦で全日本選抜選手権3位の角功介に黒星)「スタンドの攻防は良かったと思うのですが、もっとグラウンドで守れるようにしないといけないです。(試合後に松本慎吾監督から)スタンドの形はできているのだから、グラウンドでしっかり守れ、とアドバイスを受けました。準決勝の壁なのでしょうか、これからはスパーリングの練習でも、きっちりテークダウンまでもっていける練習もやっていかないといけないですね」


 ■男子グレコローマン74kg級・江藤紀友(練馬駐屯地=全日本選抜選手権2位。今回も決勝で敗れて2位)「詰めが甘かったですね。井上選手もだんだんベテランの域に入ってきているのか、強くなっていました。一度対戦して勝っているという油断があったわけではないのですが…。

 全日本選抜選手権で2位になって、今大会の出場権があったので出場したのですが、自衛隊の勉強が忙しくて、週に一度くらいしかレスリングができていないんです。何も言い訳にはなりませんが…。自分はレスリングが大好きなので、出場できる大会には、これからもどんどん出場していきたいと思います」


 ■男子フリースタイル66㎏級・井上貴尋(日体大=昨年の全日本大学選手権優勝。決勝で石田智嗣に敗れる)「決勝は相手の組み手になって、攻めることができなかった。最後はがぶり返しにいったところにタックルを決められてしまった。

 兄(グレコローマン74㎏級優勝の智裕)の結果は気にしなかったけど、兄弟で決勝進出は初めてなのでうれしい。来年3月の卒業後は教員になるつもりです」(左写真)

 


 ■男子フリースタイル66kg級・田中幸太郎(早大=全日本選抜選手権王者。2試合目で“天敵”とでも言うべき井上貴尋に敗れる)「井上選手とはいつもかみ合わない試合になってしまう。いつも組み合ってから点数を取られてしまっているので、相手のペースに合わせていたのかなと思う。

 全日本選抜選手権王者という気負いはなく、思い切ってやろうと思い自分のレスリングをしようと思った。負ける時のパターンがいつも決まっている。まだまだ実力が足りないと思った。早大としては最後の大会ですが卒業後もレスリングを続けます」


 ■男子フリースタイル74㎏級・嶋田大育(国士舘大=学生二冠王者。準決勝で高谷惣亮に敗れる)「(準決勝は)第2ピリオドは、仕掛けていってポイントを取られたから修正できると思うが、第1ピリオドに自分から攻められなかったところが反省点。1年の成長を試す集大成の大会なのに、納得のいく負けではなかった。

 (全日本学生連盟の年間MVPを受賞するなど、この1年は大活躍)今年は上り調子だったので、この負けが、まだまだだということを教えてくれたと思う。ポイントを取る、取らせない、という単純なことを徹底していきたい」(右写真)


 ■男子フリースタイル74kg級・浅井翼(京都・京都八幡高2年=全日本大学選手権2位の選手に勝つ)「どこまで通用するかわからなかったのですが、1回戦で大学2位の選手に勝つことができました。次に大学二冠王者の選手と対戦したのですが、やっぱり力的にも体力面でも劣っていてポイントが取れなかったのが悔やまれます。

 最初はどれだけボコボコにされるのだろうと思いましたが、試合してみるとポイントも取れましたし、次につながる結果を出しました。来年は高校のタイトルをすべてとりたいです」(左写真)


 ■男子フリースタイル74kg級・北村公平(早大=世界学生選手権2位。決勝でロンドン五輪代表の高谷惣亮に敗れる)「(お疲れ様でした、と声をかけてきた後輩に)少しは強くなったでしょ、オレ(と笑顔)。高谷さんとは、もっともっと差があると思っていました。全日本選手権で初めて入賞することができました。この初入賞は練習の成果だと思っています。

 京都八幡高校時代から理想としているレスリングは、どんどんとタックルに入ることだったのですが、大学に進学してから、何を勘違いしたのか、テクニックで勝つレスリングをしようと思ってしまったんですね。

 今大会に向けて、原点回帰として何度でもタックルに入るレスリングをしようという練習を繰り返しました。差があると思っていた高谷さんの脚を触ることもできたので、今回は練習の成果を出せたと思っています」(右写真)


 ■女子51㎏級・宮原優(JOCエリートアカデミー/安部学院高=第1シードも、決勝で菅原ひかりに惜敗)「決勝は自分が攻めてポイントを取り、投げての1失点なので、内容では負けていないと思います。(準決勝の志土地希果戦は)1度負けている相手なのでリベンジする気持ちで試合をしました。来年は全日本選抜選手権に勝って、世界選手権の代表になって、金メダルを取りたいと思います」


 ■女子51kg級・入江ななみ(福岡・小倉商高=全日本選抜選手権2位。準決勝で菅原ひかりに残り1秒で負けて)「まだ練習が足りないなと思いました。腕がパンパンで、残り時間も分からなかった。(全日本選抜選手権2位だったので)今回は優勝したかったです。

 (前日に48kg級の姉が2位だったので)姉の分まで頑張ろうと思っていた。今後は精神面を鍛えていきたいし、自分のレスリングをもっと研究し、相手も研究しないといけないと思いました。来年は姉と同じ九州共立大に進んで、来年は絶対に全日本選抜選手権と全日本選手権で優勝したいです」


 ■女子51㎏級・志土地希果(至学館大=2011世界選手権5位。今年のゴールデンGP決勝大会覇者の宮原優に準決勝で敗退)「自分の動きが全然できませんでした。初戦も勝つことはできましたが、ニアフォールの体勢に持っていかれましたから。

 (準決勝の宮原戦は)やりにくい相手というのもありましたが、相手の動きに合わせてしまいました。カウンターや返し技を警戒し過ぎてしまったのかもしれません。成人式には出席できませんが、成人式を境に気持ちを切り替えて、また来年がんばります」


 ■女子55kg級・浜田千穂(日体大=全日本選抜選手権優勝、世界ジュニア選手権59kg級優勝。決勝で村田夏南子にラスト10秒を切ってから逆転負け)「ラスト10秒ということで、油断してしまいました。

 正直言って、これだけの接戦が(村田と)できるとは思っていなかったので、少しずつですが差は縮まってきているのではないかと思いました。でも、今回の試合は勝てていた試合を落としてしまいました。もっと練習を積んで頑張ります」(左写真=青が浜田。終盤、村田から1点を勝ち越す)

 


 ■女子55kg級・川井梨紗子(愛知・至学館高=村田夏南子との準決勝の第3ピリオド、5-0からフォール負け)「5-0とリードした時、勝てると気をゆるめてしまった。もし、ふつうにしてても(気をゆるめなくても)5点取っていたから、逃げていたかもしれない。自分の詰めが甘いかなとも思った。監督にいつも怒られるところはそこです。

 今回は初めて55kg級に出場しました。来年の全日本選抜選手権では絶対リベンジしたい。(9月の世界選手権は51kg級に出場したが)51kg級は五輪階級ではないので、いずれ55kg級にするなら、早いうちに55kg級に上げて経験を積みたかった」(右写真=青が川井。村田をフォールの体勢に追い込む)


  ■女子67㎏級・井上佳子(クリナップ=準決勝で飯島千晶に競り負け、2年ぶり4度目の優勝を逃す)「第1ピリオドの終わりのところ、場外際で出すなら出す、投げるなら投げる、ということをはっきりするべきだった。チャンスで取り切れなかったところが大きいと思う。(世界選手権で3位に入り)プレッシャーは特になかった。これで完全に追う立場になったので、しっかり練習してがんばっていきたい」


 ■女子67kg級・飯島千晶(日大=昨年2位。今回も決勝で同じ相手の土性沙羅に敗れる)「準決勝で、高校の時から一度も勝っていない相手(井上佳子)に勝ったことで、多少なりともですが達成感のようなものが出てしまったのかもしれません。気持ちを切り替えて決勝戦に臨んだのですが、自分のレスリングをさせてもらえなかったです」(左写真)