2024.12.26

【2024年全日本選手権・特集】優勝選手の声(男子フリースタイル)

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 

(2024年12月19~22日、東京・代々木競技場第2体育館)


 ■57㎏級・坂本輪(CWC=米国から一時帰国して出場、19歳2ヶ月11日で初優勝)「満足はしてない。(実力を)出し切れなかった。展開がなく、すごくつまらない試合になってしまった。今、オクラホマ州立大学で練習しています。向こうで練習して4ヶ月くらい。ずっとフォークスタイル(カレッジスタイル)の練習をしていたので、フリースタイルにアジャスト(適応)できなかった。自己採点だと50点くらい。

 1月13日に正式に向こうの大学に入学することになります。(2021年東京オリンピック男子フリースタイル86㎏級金メダリストの)デービット・テーラーさんに習っているけど、『しばらくはフォークスタイルのルールと動きに慣れるように』と言われています。2年間ぐらいはフォークスタイルを中心に活動して、NCAA(全米大学)のチャンピオンになりたい。それがひとつの目標です。次回の帰国はJOCジュニアオリンピックのときになると思います。国際大会には日本代表として出場します」


 ■61kg級・須田宝(山梨学院大=学生2冠獲得に続いて全日本制覇)「素直にうれしいです。(決勝の最後の競り合いは)自分の持っているものをすべて出して勝とうと思いました。新人戦で勝ったことのある相手ですけど、場外際とかポイントの取り際とかの攻防が強い選手で、闘いづらいタイプです。もう少し違う闘い方があったかな、と思います。次の課題です。

 (世界王者で今大会は負傷欠場の小野正之助は)目標の選手です。闘うときが来たら勝てるように頑張りたい。(12月31日生まれ、10代の最後で全日本王者となり)今年はインカレと大学選手権の2大会でも優勝でき、いい10代の締めくくりになりましたね。(高校時代のライバルの西内悠人=日体大=が先に世界に飛躍したが)自分はこの階級の国内でしっかり優勝しようと考えていたので、焦りとかはなかったです」


 ■65㎏級・田南部魁星(日体大=昨年の61㎏級に続き、天皇杯で2年連続優勝)「うれしい気持ちもあるんですけど、今回は世界一強い人(パリ・オリンピック同級金メダリストの清岡幸大郎)が出ていなかったので…。オリンピック・チャンピオンを倒せるように、次の明治杯に向けてもっと練習したいと思いました。

 (決勝を争った荻野海志には6月の東日本学生リーグ戦で辛酸をなめさせられたことについて)リーグ戦の時もロースコアの展開。自分が仕掛けたタイミングでカウンターで取られてしまった。そういう反省点があったので、自分が仕掛ける時にカウンターをくらわないように練習してきました。それが出せてよかったです。(翌日、男子グレコローマン67㎏級に出場することについて)減量はさほどないんですけど、夜ご飯いっぱい食べたいので、いま、ちょっと着込んで暑くして、体重を落とそうと思っています」


 ■70kg級・青柳善の輔(クリナップ=世界2位の実力を示して3連覇)「ホッとしています。(決勝は1分14秒での勝利だが)圧勝ではないです。うまい試合運びができたから勝てたんだと思います。正直言って怖かったし、何があるか分からないので、自分から攻撃することを心がけて頑張りました。どんなに経験を積んでも緊張します。

 同じチーム内でも、下からの追い上げをすごく感じます。でも、大きな舞台で多くの試合をやってきたことは、自信になっているし、強くなっているのかな、と思えることです。来年は、70kg級で世界選手権を目指す一方で、国内予選の日程の関係もありますが、U23世界予選は74kg級で挑みたい。来年のこの大会は74kg級で出ることを考えています」


 ■74kg級・高田煕(自衛隊=高校3年生の2019年に2位、5年かけて日本一へ到達)「本当は大学の時に取りたかったけど、けがとかで出られなくて、(この大会の出場は)3年ぶりでした。社会人1年生で全日本のタイトルを取れてうれしい気持ちです。(相手の)小柴選手は日体大の後輩なので、決勝の舞台をお互い楽しもうという感じでいました。最後は攻めるレスリングが勝つんだと思って、徹底して攻めるレスリングができました。

 高校生の時に準優勝して、『すごい』と言われていたけど、大学に入ってから勝てなくて、周りが活躍していて自分は出遅れている感じでした。やっとみんなに追いついたのかなという感じです。同じ所属で高谷大地選手(パリ・オリンピック銀メダル)がいるので刺激になります。練習でもまだ勝てないし、世界の壁を感じます。74kg級は世界でも注目の高い階級。ロサンゼルス・オリンピックを目指して頑張りたい」


 ■79kg級優勝・神谷龍之介(日体大=ラスト1.4秒、ビデオチェックの結果、相手を場外に出して逆転勝ち。2連覇達成)「うれしいです。最後は押すしかなく、気合で押しました。残り時間は分かりませんでした。押すしかなかった。(チャレンジのビデオを見て)自分はポイントが入ったか分からなかったけど、湯元(健一)コーチが『大丈夫だ』と言ってくれたので、信じました。

 今年は負けてばかりだった。今度は絶対に勝つつもりで、内閣(全日本大学選手権)が終わってから、しっかり練習してきました。ぎりぎりであっても勝てたのは、実力が上がっていることと感じ、自信になります。タックルで入って攻めるスタイルを作り上げていきたい」


 ■86kg級・白井達也(佐賀県スポーツ協会=最近のライバル、髙橋夢大=三恵海運=に競り勝つ)「お互いに手の内が全部分かってる相手。1ポイントも与えなかったのはよかったかな。下から来るのは分かっていたので、先にフェイントをかけて、崩してから前に詰めることができた。素直にうれしい気持ちです。

 準決勝では、一回も勝ったことのない高谷(惣亮)さんに、2-1でしたけど勝てたのが大きかった。僕が中学校の時に活躍されていたあこがれの選手ですが、追い越すべき存在かな、って思ってきました。試合後、「今日は負けたよ」と声をかけられたので「拓大に出げいこに行かせてもらいます」と言いました。高谷さんを糧にしていかないと、世界では勝てないし。パリ・オリンピックで石黒(隼士)選手をぼこぼこにしていた米国選手には、去年のU23世界選手権でぼこぼこにやられた相手です。そのくらい、世界とは差があるのかなって感じました。4年後というよりも目先のことを地道にやっていきたい」


 ■92kg級・石黒峻士(MTX GOLDKIDS=92kg級に戻し、この階級で7年ぶりの優勝)「(看護師の資格を取るための)勉強とレスリングを両立させてやってきた。それで優勝できたので、かなり自信になりました。第1、2試合は硬かったと思いますが、修正してその後を自分の動きをすることができました。おととい、きのうとテストがあって大変でしたが、自分で考えて予定を組めるようになり、人間的にも成長できたかな、と思います。

 体重的には、92kg級の方が調整が楽なので、無理に(オリンピック階級に)上げず、4年後をを見据えてじっくり筋肉をつけていこうと思います。92kg級で出た今年の世界選手権は、イラン相手に6分間、レスリングができたので、その意味で自信がつき、今回の優勝につながっていると思います。(弟の)隼士のオリンピックでの闘いを生で見て、世界選手権と違うものを感じました。こちらの舞台に立ってみたい、という気持ちが出てきました」


 ■97㎏級・吉田アラシ(日大=2年連続優勝)「悪い点はあまりなかったんじゃないかな、とは思うけれど、組み手は完璧には決まらなかったと思います。グラウンドも2ポイント取って、すぐアップになってしまった。そこをもっと詰めていけたらなと思う。

 パリ・オリンピックでの日本代表の活躍は、悔しい気持ちがありました。一方で、自分のレベルでは、まだ行けるところではないな、とも感じました。そこを埋めるために、筋力面も技術面もやるべきことはたくさんあります。これから筋力面で体をしっかりと作って。そこから技術面で固めていけば、オリンピックへ行けるんじゃないかな、と思います」


 ■125kg級・山本泰輝(自衛隊=園田平との同門決勝で勝って3年連続7度目の優勝)「素直に、すごく…(涙声)、うれしいです。(園田)平先輩は、高校2年生のときに負けた相手で、その結果で(自分は)階級を変えたんです。階級が変わったので、試合することもなかったのですが、拓大の先輩でもあり、何を聞いても親切に教えてくれました。125kg級でこの大会に出ることを聞いて、今のままでは勝てないと思いました。そんな先輩に勝てて、とてもうれしいです。

 今までは、自分から攻めるとか言っていましたけど…。自分の嫌いなグレコローマンの練習を逃げたりしていました。オリンピック予選で負けて、ひざの手術をして、肉体改造からやり直しました。今日は1回戦から決勝まで、全試合、自分から攻めることができました。久々に納得のいく内容。これを忘れないで、これからも練習していきたい」