※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
完全に体力負けした有薗(青)
相手は昨年まで84kg級で闘っていて今年から階級をアップし、欧州選手権3位に入っている選手。有薗は6月にカザフスタンで行われた「プレジデントカップ」では欧州王者のベラルーシ選手と対戦し、負けたとはいえ、スタンドではポイントを取られず、手ごたえらしきものを感じた。
その選手よりは落ちると思われた相手だが、「今まで闘った選手の中で一番強かった」というから世界は広い。腕をつかまれて、振りほどこうとしても抜けず、押し込もうとしても、びくともしない。「基礎体力からして違う。大人と子供ほどの差がありました」と、その体力のすごさに舌を巻いた。
その強い選手が、3回戦でアルメニア選手に接戦とはいえ黒星。敗者復活戦の望みが消えるとともに、いっそう世界トップとの実力差を感じることに。「動かして相手をばてさせ勝負する」が自分の必勝パターンだが、最初から体力負けしてしまっては、それも通じないことが分かった。
「これでは情けない。日本へ帰ってから、1からやり直しです。体力づくりからやらないとならない」と言う有薗にとってのお手本は、この階級で2008年北京五輪出場を果たした加藤賢三(自衛隊)。「1週間のほとんどをウエートトレーニングの練習をしていたとう記事を読んだ。とことんやります」と、徹底した体力アップを今後の課題に掲げた。
12月の全日本選手権では「優勝し、来年の五輪トライアルに出場して自分で五輪出場権を取りたい」-。初めての世界選手権はほろ苦い大会となったが、この悔しさをやる気に変え、来春の再挑戦を目指す。