※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
マスターズ(35歳以上)レスリングの普及と発展を目的とし、全日本マスターズ連盟主催のマスターズレスリング交流合宿が10月20日、東京・味の素トレーニングセンターでスタート。2日間の日程だが、関西からの参加もあり、のべ40人を超えるマスターズ選手が汗を流した。(右写真)
昨年から始まった合宿。同連盟の青山紫郎理事(強化委員長)は「毎年1月に全日本マスターズ選手権が行われているが、それ以外にもマスターズ選手が集まり、交流する機会が必要」と説明。強化だけが目的ではないので、「強化合宿」ではなく、「交流合宿」としている理由を説明した。
昨年は全日本チームのコーチが参加し、ハイレベルの技術を指導してくれた。技術的に得るものは多かったが、「肉体的にきつかった」という声があったもの事実。今年は全日本マスターズ選手権に出場を続ける朝倉利夫・国士舘大監督(1981年世界選手権優勝)の指導のもと、無理ない練習を心がけたという。
それでも、初日のこの日は午前中に差しや腕とりで約1時間半、午後は崩しやがぶりからの攻撃、スパーリングで約3時間の練習を全員がしっかりこなし、「みんなよくついてきました」と参加選手の体力に舌を巻いた。21日はグラウンド練習を中心に3時間の練習をこなす予定。
■「1秒でも長く試合をするため、組み手と崩しのマスターを」…朝倉利夫コーチ
青山理事は世界ベテランズ選手権に何度か参加しており、欧州のマスターズレスリングの盛んさを見ている。「日本は社会人になったら、なかなかレスリングをする機会がなく、高校のクラブに参加して練習する程度。ヨーロッパはクラブ・スポーツが盛んなこともあり、マスターズ選手だけで汗を流しているんですよ。日本なら仕事が終わってパチンコやマージャン、酒ですが、向こうはレスリングで汗を流し、それからビール。歴史や生活観が違うんです」と説明する。
レスリングが生活の一部となっている境遇がうらやましそうで、日本でもそれに近づけるよう努力したいという。「去年より参加者が減って残念です。周知させ、盛り上げていきたいです」と話した。
朝倉利夫コーチ(中央左)の技術指導。相手を務めるのは、かつてグレコローマン52kg級でライバルだった宮原厚次・自衛隊前監督
昔レスリングをやっていた選手であっても、日本で組み手や崩しの重要性が徹底されていなかった時代の選手が多く、平均して飛び込むだけのタックルになっているという。
「飛び込んで自滅して、返されて十数秒でフォール負け…、では遠征費を使ってまで試合に出ようとは思わないでしょう。1秒でも長く試合をするためにも、組み手をしっかり使い、フェイントを使って相手を崩す技術をマスターしてほしいです」と説明する。
アシスタントコーチとして理詰めの理論を指導した水橋徹氏(全日本学生選手権3連覇ほか、全日本社会人選手権、国体で優勝経験あり=国士舘大OB)は「体は学生の方が動きますが、理解力は学生よりあります。ここで学んだことを、いつもの練習でマスターしてほしいです」と話し、マスターズ選手の健闘を期待した。
2013年の全日本マスターズ選手権は、1月13日(日)に東京・青少年総合センターで行われる予定。
![]() 水橋徹アシスタントコーチのがぶりからの攻撃指導。理詰めで分かりやすい理論を展開した |
![]() 現役のマスターズ選手でもある連盟の村本健二事務局長(左)は、けがで練習は無念の不参加 |
![]() 朝倉コーチに挑んだ連盟の田村知一副理事長だが、見事に玉砕! |
![]() 女子選手も2人参加。攻めているのは大坂から参加の長尾由香里さん |
![]() マット6面で練習を展開 |
![]() 練習の最後はスパーリング。2分を全部で10本こなした |