※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(2023年9月22日、セルビア・ベオグラード / 取材=布施鋼治、粟野仁雄)
■男子グレコローマン・文田健一郎(準決勝でアルメニア選手に勝って決勝進出)「レスリングの神様がいるのなら、もらったチャンスを絶対に無駄にしないようにしようと思った。コンディションはともかく、出るからには出場枠を取って帰らないと、と思った。(今年1月に)父親になって、何としても絶対に(子供を)パリに連れていきたいという思いが強かった。奥さんと2人を胸張ってパリの試合会場に連れていけるのがすごくうれしい。
去年は悔しい思いした。世界のレスリングがこうなら、勝つために何をしたらいいのかを考えた。地味にやること。やっても面白くないし、見ている人も面白くないとは思うけど、このスタイルをもっと極めたい。(決勝は)4年前のように思い切っていきたい」
■男子グレコローマン72㎏級・原田真吾(ソネット=育英大OB。国際大会初出場で3位決定戦へ)「まさかここまで来るとは…。自分の中で思っていなかった。世界選手権初出場なので、チャレンジャーの気持ちで挑みました。コンディションがよかったので、試合前から結構いけるかな、という気持ちもありました。1回戦は相手のことを知らないので、研究することもなく挑みました。日本人選手とはスタイルが違い、粘りもすごいので、そういう選手が相手でも取り切れないと、勝ててはいけない。最後(の試合)は力負けをしてしまって、体力がないところで取り切れなかった。
ひとりひとり相手のスタイルも違うので、(育英大の男子監督で今回セコンドについた)松本隆太郎コーチからは、それぞれの相手への的確なアドバイスをいただきました。日本にメダルを持って帰れたらうれしい。昨日まで育英大の女子が活躍していたので、すごい刺激になりました。自分が銅メダルを取ることで、『育英大には男子もいる』ということを証明したい」
■男子グレコローマン97㎏級・奈良勇太(警視庁=2年ぶりの世界選手権でフィンランド代表を相手に初戦敗退)「もっとできると思っていたけど、不甲斐ない結果に終わってしまった。相手に押し込まれ、よくない試合展開に。今まで出てきた世界選手権の中でも一番悪い内容だったんじゃないかと思います。力はつけてきたつもりだったけど、相手の闘い方にあたふたしてしまい、自分から押し込めず展開を作れなかった。
力及ばず、すぐ終わってしまった。今まで自分の練習を見てくれたコーチやトレーナーの方々に申し訳ない気持ちでいっぱいで、悔いが残ります。今後は、国内やアジアが舞台でなくても、自分の形を出し切る。そういう徹底した力を身につけることが大事だと思っています。今後も強化を続けていく中、パリ・オリンピックのアジア予選や世界予選を見据えて、12月の天皇杯は絶対に優勝する」