※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
2023年全日本学生選手権の第3日、Bマットには女子の1回戦から決勝までの全試合が予定された。これに呼応するかのように、全日本学生連盟の本田原明審判委員長(自衛隊)の肝入りで、このマットの審判団は全員が女性審判という構成として実施された。
日本人の国際審判員は、世界レスリング連盟(UWW)審判委員会エグゼクティブメンバーの小池邦徳審判員(奈良・天理教校学園高教)を含めて19人いるが、女性審判はわずか2人。割合は世界の中で少ない方で、UWWから女性国際審判員の育成を要望されている。
一方で、10月に静岡・焼津市で予定されているフォーデイズ杯全日本女子オープン選手権で女性審判だけのクリニックが予定されており(関連記事)、ここにきて女性審判の育成に以前にも増して取り組んでいる現実もある。責任と自覚を持ってもらうためにも、女性審判員だけのマットは意味があるだろう。
今大会に参加した審判員は、審判委員長が指名した“お母さん審判員”も含めたA級審判員のほか、各大学が帯同したB級審判員の計11人。男子選手・関係者が圧倒的に多い会場の中で、異彩を放っていたのは事実。女性審判員の存在をアピールすることによって、続く審判員も増えるはずだ。
女性審判員だけのマットというのは、以前、全国中学生選手権でもあったそうだが、時代が早すぎたためか、あまりいい評判はなく、自然消滅したという。今大会に参加した女性審判員は堂々としたレフェリングで、もちろん男子の試合もしっかり裁いた。女性審判の技術は間違いなく向上している。
「19分の2」の返上と、5対5の割合を目指し、女性審判員育成の流れが熱を帯びてきた。