※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
67kg級の世界チャンピオンに善戦した工藤だが、メダルには手が届かず
「世界で勝つ厳しさを実際に感じました。でも、自分が攻め急いだり、取ったあとに逃げてしまったりと、気持ちの差というか、自分の弱かったところです」と、世界のレベルを知るとともに、努力で克服できる差であることも実感。
「タックルでポイント取れるとか、いいところも出ましたし、その意味では頑張れたかな、と思います。この種の大きな大会でポイントを取れたのは初めてです。もっと攻め続けられればよかった」と、表情に暗さはなかった。
「63kg級は金メダルの階級」と言われることに関しては特別にプレッシャーを感じることはなく、「自分のできる精いっぱいをやろう」という気持ちだったという。全日本合宿では伊調馨選手(ALSOK)から親身になってアドバイスをおくってもらっただけに、そのあたりがちょっぴり残念そうではあった。
2016年リオデジャネイロ五輪へ向けては、現役続行を明言している伊調の壁に挑まねばならない。「まだ世界一になっていませんから」と、この話にはあまり乗ってこなかったが、「今の段階で出られるとは思っていませんが、63kg級でやっているのはリオデジャネイロを狙っているからです」ときっぱり。
ふだんの体重は約70kg。身長からしても、67kg級、あるいは思い切って72kg級に上げ、減量のない状態で闘う選択肢もある。実際に、そう進言してくる人もいるという。しかし「オリンピック階級へのこだわりがありますので」と階級アップには消極的。今回、減量がスムーズにいったことで、63kg級で続ける気持ちを強くしたようだ。