※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
部員不足のチームが連合してリーグ戦に参加する学連選抜チーム。制度ができてから2年にして、同チームの優勝が実現した。
2023年東日本学生リーグ戦では、昨年の東北学院大と国際武道大に、東農大が加わってチームを結成。3チーム混合となった。86kg級のみ2選手で、あとは階級が分散し、5階級で臨んだ。
初戦で、昨年は一部に在籍していた慶大に0-2から逆転勝ちして波に乗った。4回戦では、自衛隊体育学校の元選手が指揮する防大にも4-3で勝ち、初日を終わって4戦全勝。最終日は、東北学院大の後藤大地監督、国際武道大の小林孝至監督とも仕事で不在となったが、東農大の飯山禮文・前監督の指揮のもと、負傷で戦力を欠いた東大に圧勝した。
東日本学生連盟の財務委員長を務める飯山・前監督は「この制度をつくった成果が、早くも出ましたね。部員が少ないチームの選手にも、リーグ戦出場の機会を与え、希望を持たせられる制度です」と振り返る。東農大は部員1選手で、しかもレスリングを始めたばかりの選手だが、「経験者のチームの中に入り、個人戦とは違う雰囲気の中で闘え、優勝という結果を出せたことで、励みになると思います。(この制度を提案し、採用した)吉本収会長に感謝です」と言う。
昨年は、この制度ができることを知らず、大会の初日に東北学院大と国際武道大が初めて顔合わせするという“即席チーム” だった(結果は2位)。今年は、連合チームになることを予想して両チームの監督が連絡を取り合い、選手も「リーグ戦出場」という目標を持てたので、気合の入り方が違ったようだ。
優勝を知った国際武道大の小林監督は「どんな形であれ、リーグ戦優勝という結果を得られれば、自信になるし、やる気につながる。連合チームで参加、というのは思いもつかなかった。本当にいい制度を考えてくれました。会長に感謝です」と、飯山・前監督とまったく同じ言葉。国際武道大の監督に就任してから二部リーグの優勝経験はあるが、選手時代(日大)は日体大17連覇の真っ最中だったので、“リーグ戦優勝”という経験はない。「私も経験のないリーグ戦優勝! 選手にとっては、本当にいいことです」と喜んだ。
最近は、個人戦では初戦敗退の選手が多かったので、午前中に会場を後にすることが多かったと言う。「(初日に)夕方まで会場にいて、わくわくさせてもらったのは久しぶりですよ」とのこと。続けて、「でも、トロフィーを3等分するわけにはいかないですね。3チームの場合は3つ用意してもらい、より喜びを与えてくれるようにしてほしいですね」と、口調も滑らかだった。
来年は、東農大に推薦制度が復活するので、選抜チームからは抜ける見込み。飯山・前監督は「二部リーグの発展のため、この制度は続けてもらい、部員が少なくてもリーグ戦優勝という目標を持たせられるようにしたい」と話した。