※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
【ストラスコナカウンティー(カナダ)】世界女子選手権第2日は9月28日、カナダ・ストラスコナカウンティーで女子2階級が行われ、55kg級の吉田沙保里(ALSOK)が4試合フォール勝ちの強さを見せ、五輪3度を含めて13度目の世界一へ。男子グレコローマン130kg級のアレクサンダー・カレリン(ロシア)が1988年から1999年にかけて達成した12度の世界一(世界選手権9度、五輪3度)の優勝回数を超え、世界最多の優勝回数および連覇を達成した。
吉田は初戦の2回戦と3回戦を快勝したあと、準決勝は今年の欧州チャンピオンのナタリア・シニシン(ウクライナ)と対戦。第1ピリオド、相手を場外に押し出したと思われた直後、カウンターの投げを受け(相撲で言う「切り返し」)、3点を失う苦戦。第2ピリオドを取り、第3ピリオドにフォール勝ちしする薄氷を踏む思いで決勝へ進出。
決勝は、昨年5位で今年のパンアメリカン選手権優勝のヘレン・マルーリス(米国)相手に、第1ピリオドを2-0。第2ピリオドはワンチャンスでフォールを決め、全試合フォール勝ちというおまけをつけて偉業を達成した。
72kg級の鈴木博恵(クリナップ)は初戦で敗れ、敗者復活戦に回れなかった。
各選手の成績は下記の通り。
![]() 決勝の第2ピリオド、バックを取って一気にフォールへ |
![]() 13度め目の世界一を父・栄勝コーチ(右)と栄和人監督が祝福 |
【55kg級】吉田沙保里(ALSOK) 優勝=17選手出場
1回戦 BYE
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2回戦 ○[フォール、1P0:58(F3-0)]Akziya Dautbayeva(カザフスタン)
《試合経過》第1ピリオド、動いてくる相手の右脚をとらえてテークダウンを奪った吉田は、腕取りで体を返し、一気にフォールを決めた。
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3回戦 ○[フォール、2P0:29(1-0、F3-0)]Geeta(インド)
《試合経過》第1ピリオド、吉田は相手の動きを慎重に見て、1分すぎ、回り込んで1点を獲得。第2ピリオドは前半に勝負をかけ、正面タックルで豪快に倒して、そのままフォール勝ち。
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準決勝 ○[フォール、3P1:44(0-4,1-0、F3-0)]Nataliya Synyshyn(ウクライナ)
《試合経過》第1ピリオド、一進一退のあと、吉田が仕掛け、場外へ出したかに見えた直後、相手のカウンターの投げを受け(相撲で言う「切り返し」)、背中からマットへ。日本陣営は「場外に出した」としてチャレンジ。相手の足は場外に出ているように見えたが、判定は覆らず、3点が入り、チャレンジ失敗の1失点が加わって0-4。第2ピリオドは48秒に吉田が正面タックルを決めて1-0で取った。
第3ピリオド、明らかにばてている相手を動かした吉田は、48秒に片足タックルで1点。後半、正面タックルで背中からマットに落とし、そのままフォール勝ち。
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決勝 ○[フォール、2P0:52(2-0、F4-0)]Helen Louise Maroulis(米国)
《試合経過》第1ピリオドの40秒、吉田ががぶって、振って1点を先制。中盤にもバックに回り込み2-0。第2ピリオド、24秒に回り込んで1点を取り、相手の右腕を取って体を返した。そのまま両肩をマットにつけてフォール勝ち。
【72kg級】鈴木博恵(クリナップ) 11位=16選手出場
1回戦 ●[1-2(3-0,1-1,0-1)]Xu Qing(許晴=中国)
《試合経過》第1ピリオド中盤、がっちりがぶられた鈴木だが、その体勢からタックルへ。当初は相手のがぶり返しのポイントとされたが、チャレンジ(ビデオチェック要求)の結果、鈴木のタックルのポイントとなって3-0。第2ピリオド、鈴木は1分29秒に左脚へのタックルで1点を取ったが、終了間際に1点を返され、1-1のラストポイントで落とした。
第3ピリオド、1点をめぐる攻防となり、鈴木のタックルをがぶった相手がうまいこなしで1点獲得。痛恨の失点となり、0-1で敗れた。