2023.05.15

【2023年東日本学生リーグ戦へかける】2年連続のグランドスラムを目指して燃えるチーム、王者の自信で今季初の団体戦へ挑む…日体大

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

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(文・撮影=布施鋼治)

 今シーズンから日体大レスリング部の主将となった清岡幸大郎は、東日本学生リーグ戦へ向けて力強く宣言した。「強いメンバーがそろっている。まわりに応援してもらいながら、それぞれが全力を出して戦えば、優勝できるチームだと思います」

 ゴールデンウィーク中に大学を訪れると、5月16日からスタートする大会に向け、休日返上でラストスパートに入っていた。チームの特色を聞くと、清岡は「今年は声を出す選手が多い」と言う。「声を出しながらやっていると、自然と元気も出てくる。試合結果だけではなく、チームとして憧れを持ってもらえるようにしたい」

▲2年連続グランドスラムへ向け、2023年第1戦の東日本学生リーグ戦へ挑む日体大チーム

 昨年、同大学は東日本学生リーグ戦全日本大学グレコローマン選手権、そして全日本大学選手権で優勝。大学レスリング史上28年ぶりとなるグランドスラムを達成した。チームの中には、その勢いで「今年もグランドスラムを!」という気運が高まっているという。

 同大学のフリースタイルを指揮する湯元健一コーチは「学生の中には、ウチが大学レスリングの全体的な王者になったという自信が感じられる」と話す。「学生の方から『グランドスラムを2年連続で達成したい』という声を聞くようになりました。私自身は気を引き締めているけど、学生もやってくれると信じたい」

65kg級は清岡主将と大学王者・荻野海志の一騎打ちか

 予選リーグは、登録した選手の総力戦で臨む。優勝を争うと思われる山梨学院大との対決では誰を起用するかある程度決めている。(見どころのコメントは、いずれも湯元コーチ)

 57kg級は昨年の全日本大学選手権を制した弓矢健人か、今年のJOCジュニアオリンピックカップ(U20)で優勝した1年生の西内悠人(高知・高知南高卒)で勝負するつもりだ。「どちらを起用するかは初日からの流れ次第。リーグ戦の最中に崩れることがあれば、逆に調子づくこともあるので。山梨学院大は、小野正之助選手が出てくると思う」

 61kg級は昨年の全日本大学選手権同級で優勝した田南部魁星を使う予定でいる。「山梨の方は森田魁人選手が出てくる可能性が高いけど、今までの直接対決では田南部がずっと勝っている。若手の須田宝選手(佐賀・鳥栖工髙卒)が出てくることもあると考えています」

 65kg級は「清岡と荻野海志選手の一騎討ちしかない」と予想する。「過去に、清岡は荻野選手に負けていないと思うけど、(今年2月に)山梨学院大がウチに練習しにきたときのスパーリングでは五分だった。実戦では僅差の勝負になる。清岡には怖がらず、堂々とやってもらいたい」

▲イランの体力トレーニング器具ミールを使ってパワーアップをはかる清岡幸大郎主将

曽我部京太郎がフリースタイルに挑む!

 70kg級では今年のアジア選手権・男子グレコローマン67kg級2位の曽我部京太郎か、昨年のインターハイ65kg級の頂きに立った1年生の細川周(京都・丹後緑風高卒)を登用しようと考えている。

 「山梨学院大は鉄板(安定した強さ)の青柳善の輔選手が出てくるでしょう。青柳選手のスタイルは日本のオーソドックスなそれではなく、いわゆる欧米スタイルに近い。くっついて投げたり、からんだ状態から上に乗っかったり、巻き投げを使ったり…。非常に厄介な選手です。いずれを起用するにせよ、ウチは正面からつぶしていくレスリングで勝負しようと思います」

▲グレコローマン全日本王者の曽我部京太郎。フリースタイルでも、2019年全国高校選抜大会や2021年東日本秋季新人戦で優勝などの実績を持っている

 松本慎吾監督は、曽我部を「ウチのキーマン」と評する。普段はグレコローマンの練習に専念している曽我部だが、このリーグ戦出場に向け、「フリースタイルの練習もしっかりやらないと」と話し、手綱を締め直す。「タックルの処理などはしっかりと練習して臨みたい」

 74kg級は山梨学院から佐藤匡記が出てくることを予想し、湯元コーチは高田煕の起用を考えている。「髙橋海大の起用も考えているけど、佐藤選手に対しては、高田の方が相性がいいのかなと思います。ロースコアの勝負になると予想しますが。最終的にポイントを積み重ねることができるのは高田の方でしょう」

清岡幸太郎ら4年生の奮起が勝敗を分ける

 86kg級は「ウチの髙橋夢大五十嵐文彌選手の対決になる」と話す。「髙橋は全日本選手権では五十嵐選手に勝っているけど、その前の全日本大学選手権では負けている。強さは髙橋に分があると思う。五十嵐選手がどう対策してくるかが勝負のカギを握っているでしょう」

 125kg級は、グレコローマン130kg級で全日本選手権2位の小畑詩音か、1年生の丸山政陽の起用を考えている。「強さは向こう(ソビィット・アビレイ)の方が一枚上手だと思う。ただ、リーグ戦でずっと起用されたら疲れてくると思う。6戦も連続で闘ったことは少ないでしょうし、スタミナも続かないと思う」

 勝負のキーポイントは、4年生の中でも、接戦になることが予想される65㎏級の清岡、74㎏級の高田、86の髙橋になると見ている。「いずれもウチの自信がある階級だけど、山梨の方でも自信のあるところ。この3選手にはきっちりとってもらい、向こうのやる気をつぶさないといけない」

 4年生の闘いが雌雄を決するか。

▲リーグ戦へ挑む4年生選手

▲チューブを使った練習など体力づくりに励む選手

▲湯元コーチの指導。ゴールデンウィークは佐賀・鳥栖工高と熊本・小川工高も練習に参加した