※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
ゴールデンGP決勝大会(9月21~23日、アゼルバイジャン・バクー)と世界女子選手権(9月27~29日、カナダ・ストラスコーナカウンティー)の代表選手を中心とした全日本女子チームが9月16日、東京・味の素トレーニングセンターで合宿をスタートした。(写真)
栄和人・女子強化委員長(至学館大教)は練習前、選手に対して「きのうの祝勝会でオリンピック・メンバーの公式行事はすべて終わった。今日からが新しいスタート」と話し、この日を2016年リオデジャネイロ五輪へ向けての新たなスタートと位置づけた。
来年度以降の強化体制は決まっておらず、協会役員の任期満了となる来年3月に再スタートとなる予定だが、「自分に『選手を勝たせたい』という気持ちがなくなっていたら、その時は強化委員長を受けるつもりはない」ときっぱり。
もし委員長を続けることになった場合は、「選手を勝たせる気持ちのない人にコーチをお願いするつもりはない。強い選手を教えて手柄をほしがる指導者もいらない。無名であっても、選手がやる気を持って努力する限り、あきらめめず指導できる人間をコーチに選びたい」と力をこめた。
一方で、「選手の方からも積極的に教えを求めてほしい。コーチが熱くなるよう真剣に挑んでほしい。(ロンドン五輪で)72kg級を勝たせることができなかったのは強化スタッフの責任。リオデジャネイロ五輪では全階級で優勝させるので、みんなも頑張ってほしい」と、選手にも必死さを求めた。
この日の練習では、多くの選手が1点を狙うタックルになっていることを指摘。1点を取るためのタックルではなく、3点を取るタックルや、すぐにグラウンドにつなげて2点を加えるタックルを狙うことを指示し、発想の転換を口にした。
■補強トレーニングでトップ独走の吉田沙保里
世界女子選手権で13度目の世界一を目指す55kg級の吉田沙保里(ALSOK)も参加。アレクサンダー・カレリン(ロシア)の持つ12度の世界一(五輪3度、世界選手権9度)の更新へ向けて気持ちは十分で、世界選手権の代表選手らと激しいスパーリングをこなし、練習の最後の補強トレーニングではほとんどでトップを取る好調ぶり。
前日の「日本協会創立80周年記念祝賀会・五輪メダル獲得祝勝会」の前には、報道陣に「練習できていません」と口にしていたが、これは三味線(しゃみせん=相手に合わせたり、相手をまどわすこと)だったもよう。「前回(8月下旬)の合宿でも地元でも、息を上げる練習を積んでいます。補強? 若い選手には負けていられません」とにっこり。
全日本合宿で違う所属の選手と練習することは、「気持ちが違います」と話し、21日までの合宿では、これまで以上に体を絞っていく予定。五輪後から続いていたバラエティー番組などへの出演は「もうありません。すべて断りました」とのこと。完全に世界選手権モードに突入し、偉業達成へ向けて動き出した。
![]() 栄強化委員長の技術指導を熱心に聞く吉田(左端) |
![]() 父・吉田コーチの指導を受ける吉田沙保里 |