※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文=増渕由気子)
日本協会創立80周年記念祝賀会とロンドン五輪メダル獲得祝勝会が9月15日、都内の東京プリンスホテルで行われ、会の前に福田富昭会長(右写真)が、報道陣の囲み取材に応じ、今後の強化体制などに言及した。
ロンドン五輪では女子が史上最高の金メダル3つを獲得。女子55kg級の吉田沙保里と女子63kg級の伊調馨(ともにALSOK)は大会3連覇を達成して素晴らしい記録を作った。男子は、男子フリースタイル66kg級の米満達弘(自衛隊)が1988年ソウル五輪以来24年ぶりの金メダルを獲得し、銅メダルも2個。日本協会としては最高の結果でロンドン五輪を締めくくるとこができた。
メダリストには日本オリンピック委員会(JOC)から金メダリストに300万円、銀メダリストに200万円、銅メダリストに100万円の報奨金が授与されるが、日本協会からも、選手への“ご褒美”を用意している。福田会長は、「アテネ、北京と好評だったので、今回も金メダリストは家族で行ける旅行券をプレゼントすることにしました」と、金メダリストには100万円近くの旅行券をプレゼントすることを報告。銅メダリストである、男子フリースタイル55kg級の湯元進一(自衛隊)と男子グレコローマン60kg級の松本隆太郎(群馬ヤクルト販売)は金メダリストの半額相当の旅行券になるそうだ。
■2020年東京へは長期プランで挑む
ロンドン五輪までは、2009年から男子強化委員長に佐藤満(専大教)、女子強化委員長には栄和人(至学館大教)という体制で強化を図った。その成果として、ロンドンでは近年まれにみる最高の成績を残した。
2016年リオデジャネイロ五輪に向けた新体制について、福田会長は「強化委員会の改選は(他の協会役員と同じく)来年3月に行うので、それまでの半年間は現体制でしっかりやってほしい」と話し、リオ五輪へのスタートとなる今年12月の全日本選手権以降、来年冬の遠征などは現体制で固めていく方向を示した。
また、改選後のコーチングスタッフに関しては、「選手とコミュニケーションが取りやすくなるので、選手に近い存在が(コーチとして)ふさわしい」と、若手指導者の入閣を希望した。
来年9月には2020年の五輪開催地が決定する。東京は2016年に引き続き立候補し、積極的な誘致活動を行っている。福田会長は2020年東京五輪を想定し、大胆なプランを掲げた。「東京開催が決まったら、リオは通過点とし、東京に出るような選手をリオに送って経験を積ませる作戦を立てなければならない。そこで成績が出ず、周囲からたたかれてもいいと思っている。地元東京で勝つためには、それくらいの長期戦でやっていかないと」。
現在未定の次期強化体制も、来年3月に決まったあとは、「長期プランで」と、2020年までを前提に強化プランを立てていくことを示唆した。